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学級崩壊を予防する妙手とは

 学級には集中できない子どもがいる。緘黙(かんもく)してしまう子もいる。多くの場合、手のかかる子には手をかけすぎたり、手のかからないおとなしい子は放任してしまったりしてしまう。
 とかく担任は、目の前で起こる悪い現象をとらえて、それを注意するといった対応に陥りやすい。やんちゃな子がわざと教師の指示に従わず、教師の対応力を見ているのだ。
 担任が学級に支持的風土をつくるには、やんちゃな子のアドバルーン対応にふりまわされるのではなく、きちんとやっている子をほめることからはじめることだ。
 担任は一人、学級の子どもたちは集団である。大勢の子どもを相手にしては、勝ち目はない。担任がやるべきことは「味方をつくる」ことである。
 担任が子どもたちに指示を出したら、指示を守っている子をほめるのである。味方の子どもがどんどん増えていく。
 例えば、話を聞く態勢をとらせるには、手をひざにおいて、視線が担任に向いてから話すようにする。そして、落ち着きのない子に「○くん姿勢がいい!」と言えば、ふつうは、背筋がピンとなるものである。
 これを、学級が話を聞ける状態になっていないのに指示を出すから、学級が崩れていくのである。担任の話を聞かなくてもいいと思ってしまうからだ。
 学級が崩壊してしまうのは、子どもの人間関係が悪いとか親のしつけが悪いということではない。教師がきちんと授業を成立させていないところに原因がある。授業がつまらないから、勉強がわからないから子どもが荒れるのである。
 中学校では、ある教師の授業は成立するが、ある特定の教師の授業になると騒ぎ出すという現象がおきる。これは、教師の力量の違いにあると言わざるをえない。学級が崩壊するのは明らかに教師の責任である。
 教師が初めて授業をするときは、誰もが素人である。必ず学級崩壊の危機に直面する。教師に力をつける研修システムが校内に存在しないから、こうしたことが起きるのである。若い教師を指導できるだけの力量のある教師がいるとき、研修システムが有効に働く。
 授業は45分間、子どもたちを教室の中に強制して座らせて学習させることである。それにみあうだけの力を子どもたちにつけなければ授業とは言えない。子どもに楽しみや喜びをもたらし、充実感をもたらそうとすることである。
 教師は、日々、自分の足りないところはどこかを指摘してもらう環境に身を置くことが必要である。学校にこうしたシステムがない場合は、危機的状況に直面するだろう。
 それを補うために、セミナーやサークルに参加するとよい。私自身も、危機意識からセミナーやサークルに参加するようになり、人から指摘をうけることで自分自身を改善してきた。悪手を取り除いていったのである。
 教師の姿勢や心構え、指導方法をチェックし、子どもたちが学び続ける方策を講じることが何よりも大切である。小さなほころびを放っておいたツケがたまって荒れはじめるのである。
(
荒谷卓朗:北海道公立小学校教師)

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