子どもたちが掃除にプライドを持って一所懸命やるようになるにはどう指導すればよいか
掃除はやりたくない仕事というイメージを子どもたちに与えないよう、一番最初に掃除の指導をするとき「掃除は何んのためにやるのですか? それは自分と他の人たちを幸せにするためにやるのです」と「掃除の仕事は素晴らしいことだ」という仕事観を明確に伝えましょう。
掃除の仕事のすばらしさを理解するように、教師は子どもたちにつぎのように説明します。
「掃除は自分の心と向き合うためです。掃除をしていると『おしゃべりしたいなぁ、しんどいなぁ、適当に力を抜いちゃえ』と自分の弱さが次々出てきます。経験ありますよね。そんなとき『くそ、自分の弱さめ、負けてたまるか!』と言って掃除を一所懸命にやり遂げられた人は少しずつ強くたくましくなっていけます」
「仕事に余裕が出てきて、他の人の仕事を手伝えるようになります。そうすると友だちに『ありがとう』と思ってもらえるのです。実は人間にとって最高の幸せとは『誰かの役に立てた』と実感できることなのです。」
「自分の弱さに勝ち、人の幸せのために生きる。そのための素敵な時間が掃除なのです」と。
社会では、ひたむきに真摯に頑張る人をしっかり評価し、ふさわしい仕事を与え、そうでない怠け者には仕事を与えない。世の中では当然のこの常識をしっかり掃除時間で教える必要があります。
教師の監視の目が行き届かない掃除の時間は、子どもたちがあまりまじめに取り組んでないなぁ、と感じることはありませんか。子どもは掃除をするふりをしてやりすごしていないでしょうか。掃除が惰性的に行われている一番の原因は、子どもたちが掃除という仕事そのものにプライドを感じていないからかもしれません。
子どもたちを信じて任せれば、子どもたちは意気に感じて掃除をしてくれるようになります。あれこれ手法を考えて指導し続けていきたいものです。
掃除をまじめに取り組まないときは、教師は子どもたちに「掃除をふざけてやるのなら、やらないほうがマシです。見ている他の友だちに『掃除はふざけてやってもいいんだ』という悪い影響を与えるからです。やりたくない子はお願いですから、やらないでください。教室で友だちの働く様子をじっと見ていてください」と指導します。
さらに「日本は凶悪犯罪を犯した場合、社会的悪影響を心配して死刑もありうる国です。周りの人々に悪影響を与えることは許されない国なのです。たかが掃除と言うかもしれません。でも考えてみてください。その日その場所を綺麗にできなかったら、もう他の誰もその場所を綺麗にはしてくれません。いうなれば学校の代表としてその場所の掃除を任されているのです。あなたしかいないのです。信頼されて任された仕事はプライドを持ってやりとげてくださいね」と。
このように指導すれば、子どもたちは掃除を一所懸命やりとげるようになります。任された仕事にプライドを持っていどむようになります。
(土作 彰:1965年大阪府生まれ、奈良県公立小学校教師。授業のネタを収集、何かが足りないと気づき、深澤久氏の学級を参観し衝撃を受け教師に必要な哲学を研究。学級経営を成功させるには「知的権威の確立」「リレーション」「社会的手抜きの駆逐」の3要素が必要という「学級づくりの3D理論」を提唱し実践している。日本教育ミニネタ研究会代表、学級づくり改革セミナー主催)
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