教師にとって大切なことは「HOW TO」技術か、「見方・考え方」か
私は、若い頃「HOW TO」を学びたくてしかたがなかった。「HOW
TO」があれば「HOW TO」がわかれば、子どもたちによりよい学びが保障できるとずっと考えていた。早く技術が欲しいと必死になった。しかし、ある時、はっきりとわかった。教師は技術を大切にするだけではいけないことを。
では、教師にとって一番大切なものは何か。それは「見方・考え方」である。「見方・考え方」がどれほど教師をつくりあげているかを知れば知るほど、教師は「見方・考え方」で生きているのだと実感する。自分の生きてきた人生を含んだ「見方・考え方」に大きく左右されるのだということを。
だから、保護者のクレーマーにとりつかれた教師は自信をなくし、精神疾患に陥るかもしれない。また、いくら経験年数を積んでも、子どものことが読めず、学級崩壊を起こしてしまう教師もいる。
これらは、子どもに向き合い、真剣に悩み、取り組んだ結果であろうか。どこか、逃げたり、後ろ向きになってはこなかっただろうか。これも「見方・考え方」の問題と関係しているのである。
教師にとって大切なことは、子どもに向き合う本物の「見方・考え方」をつくりあげることである。それは、教師の「正義感」と「センス」と言ってもよい。教師は、自分の「見方・考え方」で勝負するべきである。それを一番よく見ているのは、子どもたちなのだから。
教育の「哲学」と「HOW TO」の峡間を埋める力が、より重要になってきていると私は感じている。現場の教師にとって、そこが意外に弱点でもあるからである。
教育の「哲学」と「HOW TO」の峡間を埋める力、それは「教育戦略力」であると私は思う。私の言う「戦略力」とは、現場や状況に合わせて、自分の手だてを柔軟に変えていけるというものである。
それはいわゆる、職人がその日の天候やさまざまな状況の変化にも対応して一流の物を作りあげる過程に内在するものに近い。
(成瀬 仁:新潟県公立小学校教師。国立大学教育学部非常勤講師、オーストラリア公立小学校での勤務経験がある。また、幼稚園の経験もあり、多彩な教職経験を生かし、子どもと環境、教師の雰囲気を考えている)
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