指導力不足教員の特徴と、指導力不足教員にならないためにはどうすればよいか
指導力不足教員とは、わからない授業を一方的に繰り返す、保護者とトラブルが絶えないなど、専門的な知識・技術を欠き、子どもの心を理解する能力が低く、指導方法が不適切で、保護者との信頼関係を築くことができず、職場で協調性が足りず、担任も任せられないと判断されるような教師である。
指導力不足教員は、校長から教育委員会を経て、認定諮問委員会で認定され、教育センターで指導改善研修を受ける。
指導力不足教員は、つぎのような共通する特徴がある。
(1)自分が抱えている課題を自覚していない
なぜ指導改善研修を受けるのかの自覚が乏しく、教師として抱えている自分の課題を明確にとらえていない。
(2)自分に対する評価がわりに高い
指導改善研修で模擬授業をしても高い自己評価をつけ、研修指導者の低い評価との間に大きなギャップが生じる。
自分を客観的にながめることができる、多様な視点が身についていない。
(3)対人関係能力が不足し円滑に運ばない
堅い自分の殻に閉じこもっているようで、話しかけても理解できず、コミュニケーションが成り立たない。話を聴き取り理解する力が弱い。
これら三つ特徴は同じものだと理解することができる。つまり、主観的で自己中心的な基準を絶対的なものとして、他者の異質で多様なまなざしを取り入れることによって、自己を客観的に見つめることに失敗した状態にあるのではないかということである。
おそらく、日ごろから、さまざまな人と交流することを通じて、自分とは異なる見方や価値観、評価を知って、多様な基準を取り入れる経験が乏しく、社会的自我が未熟であるのだろう。
自己の殻に囚われやすい教師はソーシャル‐スキル(社会技能)、つまり、他の人との協調を保って生きる生活能力をつける視点や訓練が求められているのではないか。
(今津孝次郎:1946年生まれ、名古屋大学教授・附属中高校長を経て名古屋大学名誉教授。専門は教育社会学、学校臨床社会学、発達社会学)
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