« 学級崩壊になるのを防ぐにはどうすればよいか、もし崩壊したときどう対応するか | トップページ | 学級崩壊させないための学級経営力とは »

保護者が聞いて得をしたと思える教師の専門的な立場からの話とは何か

 保護者は、わが子の日頃の学校でのようすを具体的に知りたいと思っています。同時に保護者は教育の専門的な立場から、小学生の子どもたちの全般的な傾向や心と体のことなどについて教師の話を聞きたがっています。
 具体的に学年別にみると、つぎのような子どもであるといえます。教師から保護者にこのような内容の話をし、話し合ってみてはいかがでしょうか。
1年生
(1)
自分中心に物事を考え、自分のことばかりを話したがる
 聞き上手になり、顔を見ながらゆっくりした気持ちで話を聞いてあげましょう。自分のことだけを考えてくれているという安心感を子どもに与えます。
(2)
遊び面では、好奇心が旺盛で、いろいろなことを試したがる
 危ないと禁止ばかりせず、活発に活動させましょう。ただし、いけないことやきまりについて、わかりやすく教えましょう。
(3)
自分の好きなことにのみ、注意を向ける
 一緒に関心を向けて、感心したり、驚きましょう。そして少しだけ自分のまわりへと視野が広がるように促しましょう。
(4)
一人遊びが多いが、知っている子とは一緒に遊ぶようになる
 一人遊びであっても、楽しそうにしているときはそっと見守りましょう。いつまでも続くようでしたら、声をかけ友だちと遊ぶ楽しさも教えてあげましょう。
(5)
手先が器用になってくる
 やらせると、いろいろなことができます。体験させ、あまり口をはさまず、見守りましょう。危険がともなう用具は適切なアドバイスをしましょう。
2年生
(1)
理屈を言うようになる
 聞き上手になり、話を聞いてあげましょう。まずは受けとめ、認めてから、考えが好ましくないようであれば、助言してあげましょう。
(2)
グループで遊ぶようになる
 がまんすべきところはがまんするなど、集団のルールに気づくようにしましょう。
(3)
いろいろな物に興味・関心が高まる
 一緒に遊んだり驚いたりする心が大切です。共感してあげて、豊かな感性を育てましょう。
(4)
体力が増して、運動能力が伸びる
 思い切りからだを動かせてあげよう。危険がともなうときは、的確な注意をしましょう。
(5)
手先が器用になる
 カッターなど、どんどん使わせましょう。体験をとおして学ばせることが必要です。危険をともなうものは、正しい使い方をしっかり教えましょう。
(6)
男女の意識が芽生えてくる
 男女それぞれのよさや違いに気づくようにアドバイスしましょう。
3年生
(1)
親子関係中心の生活から、友だちとの関係が強まってくる
 友だちを大切にすることを大いに認めましょう。
(2)
自我意識が目覚めて、恥ずかしいという意識が出てくる
 恥ずかしいという気持ちを前向きに受けとめ、そこから次にどうすればいいかを考えさせるようなアドバイスをしてあげましょう。
(3)
集団で遊ぶことが好きになり、リーダーがあらわれて行動する
 大きく受けとめ、のびのび生活をさせましょう。ただし、いじめなど人に迷惑をかけるような行動がみられたときには厳しくしかることも大切です。
 (4)
身長・体重の伸びが大きくなり、幼児体型から少年少女の体型にかわり始める
 睡眠や食事など、生活の基本を大切にし、成長に寄り添いましょう。服や履物など体に合っているか、ときどきチェックしましょう。
(5)
敏捷性や瞬発力が高まる
 からだを動かすことを大いにさせ、体験をとおして学ばせましょう。努力し成果があらわれたときは、ほめてあげましょう。
(6)
後半から塾に通い始める子が増えてくる
 まわりの子どものようすにとらわれて、わが子の適性を見失うことがないようにしましょう。
(7)
女子は初潮をみる子もまれではない
 不安を与えないよう、手当のしかたなどを教えましょう。母親の体験談を伝えるのも安心につながります。
4年生
(1)
友だち関係が強まり、親や友だちへの批判力が出てくる。
 批判を生意気ととらえずに成長と受けとめ、まずは聞く姿勢で。ただし、あまりにも心痛む中傷や悪口は間違いであることを、きっぱり教えましょう。
(2)
種々の運動能力や持久力が高まってくる
 多少の冒険はおおらかに受けとめ、自信がつくように助言してあげましょう。
(3)
とくに女子は異性に対する関心が生まれ始める
 大きな成長です。温かく見守りましょう。話や相談してきたときは、しっかり聞いてあげましょう。
(4)
中学受験をするかの決定期で、受験を希望する子のほとんどが塾に通い始める
 人に流されず、わが子にしっかり焦点をあてて、本人の意志を尊重して冷静に判断しましょう。
5年生
(1)
第二次反抗期と呼ばれるように、親や教師に批判が多くなり、口答えをするようになる
 感情的になるのは逆効果です。大きな成長と受けとめ、おおらかにしていましょう。
(2)
まわりの友だちと違うことに敏感になり、どう見られているかを気にするようになる
 友だちのよさや自分との違いにも気づかせ、それぞれが大切な個性であることを教えてあげましょう。
(3)
異性への意識が高まり、男女で反発することも多い。男女別々で行動することが多くなる。女子は少人数の親密なグループが形成されてくる
 子どもには子どもの世界があるので、あまり神経質にならないほうがよいでしょう。気にかかる面があったら、さりげなく聞いてみたり、まわりから情報をしいれたりしましょう。
(4)
思春期前期にはいり、自我が発達するなど精神的にも大きく成長する
 不安定で揺れ動く心には、ほどよく寄り添いましょう。しつこく聞いたり、干渉することはマイナスです。
(5)
第二次性徴が始まり、性毛が生え始める。にきびができやすくなる
 本人もかなり意識しています。そっと見守りましょう。子どもからの相談や質問には、ゆったりと受けとめ、あまり神経質にならないように。
6年生
(1)
友だちや大人への批判力が高まる
 上手な聞き手になりましょう。間違っていることは、ゆったりとした雰囲気の中で助言してあげましょう、
(2)
人目を気にするようになり、人前で恥をかきたくないという思いが強くなる。
 物事を前向きに受けとめさせるようにしましょう。
(3)
異性への関心から、タレントなど好きな人、あこがれの人をはっきり意識するようになる。
 大きな成長です。温かく見守りましょう。
(4)
女子はおしゃれへの関心が高まる
 節度を超えるものは助言しますが、清潔感やかわいらしさは大切に見守ってあげましょう。
(
稲葉順子:1955年東京都生まれ、東京都公立小学校長。月刊教育技術他執筆多数)

|

« 学級崩壊になるのを防ぐにはどうすればよいか、もし崩壊したときどう対応するか | トップページ | 学級崩壊させないための学級経営力とは »

保護者にどう対応するか」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 保護者が聞いて得をしたと思える教師の専門的な立場からの話とは何か:

« 学級崩壊になるのを防ぐにはどうすればよいか、もし崩壊したときどう対応するか | トップページ | 学級崩壊させないための学級経営力とは »