小学校高学年の子どもと、どう接すればよいか
小学校高学年の担任希望が減っている。高学年の子どもたちの荒れが広がり、指導が難しくなってきたからです。家庭でも子どものしつけに手を焼くといった報告がふえている。
今の子どもは昔の子どもに比較して早熟化した。そうした反面、社会的能力は2~4年くらい遅れている。幼稚化現象である。
高学年の子どもは、この早熟と幼稚化のはざまに立って揺れ動き、自分で自分を始末できずに持てあましている。それが教師や親を困らせている荒れの本体である。
こうした揺れる高学年の子どもとどう接したらいいのだろうか。
まず、基本的な態度をきめる。そうしないと、指導がゆれることになる。この基本的態度さえ見失わなければ、なんとかのりこえることができる。
早熟と幼稚化という不均衡を丸ごと受容し、その揺れに共感することである。「高学年の子どもたちもいろいろ大変なんだなあ」と。
そして「長所をさらに伸ばすことによって短所を補う」という方針が有効である。つまり、早熟化にそって指導を展開することである。
ここを間違えて、幼稚化現象にそって、これを正していこうとすると、反発をかって失敗する。子どもは自分が幼稚だとは思っていないからである。
まず、いわゆる小学生扱いしないことである。そう接するには、一個の主体的な人間として認め、幼稚扱いしたり、「子どものくせに」「ろくなこともできないのに」「自分のこともできないくせに」として退けたり、バカにしたり、軽く見たりしないことである。つとめて「おとな」として接することである。
そのうえで、子どもと話し合う機会を増やし、子どもの思いや願いを聞き、理解を深めることである。そう接すると、子どもも周囲の期待に応えて、ほんとの大人になろうと、自立への準備をはじめるのである。
(家本芳郎:1930-2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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