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学級崩壊の原因と教師が考え出した学級崩壊を防止する試みとは

 1990年代に火がついた学級崩壊は、小学生たちが教師の話を聞かずに、おしゃべりをし、立ち歩きを始めるという地味な荒れでした。教師がその対応に失敗してトラブルになることはありましたが、その基本は私語と立ち歩きという現象の発生でした。
 ささいな荒れのようでしたが、日本の教育の授業文化にとってはとても大きな出来事でした。学級崩壊は百年続いた日本の授業文化を揺り動かしたのです。日本伝統の授業文化は、授業中はおとなしく席について静かに教師の話を聞くことでした。この伝統が守られていたので、日本の教育は質の高い授業が実現していました。
 一部の教師は、学級崩壊は、話を聞かず、おしゃべりをしたり、立ち歩きを始める一部の不心得者の大騒ぎであるとし「しつけ」の問題であると考えて、管理を強める指導をしました。注意をくり返したり、激しく叱責したりして、言うことをきかせようとしました。
 しかし、子どもたちの変化は、1980年代半ばから個人主義・自由主義の考え方が浸透した結果なのです。以前なら、学級は「同じ釜の飯をたべる」運命共同体の仲間でした。学級内のトラブルは教師が「みんな仲良くしようね」のひと言で解決していました。
 ところが、個人主義・自由主義の浸透で、子どもたちは「みんな違って、みんなよい」となり、距離感を持ってつき合うようになったのです。これまでであれば、じゃれあって遊んでいたことが、トラブルの原因になってきたのです。
 授業の秩序を厳しくするだけでは不十分で、子どもたちを「つなげる」ためのあれこれの工夫が必要になってきているのです。
 多くの教師は、つぎのような授業文化を変えていく試みを少しずつ展開するようになってきました。
(1)
子どもたちが「参加・体験」する授業を取り入れるようになってきた。
(2)
ペア・グループ学習による集団学習が増えてきた。
(3)
授業の運営に演出をこらすようになってきた。
 従来のまじめだけの授業や一斉授業方式やドリルを徹底させるだけでは、子どもたちの変化に対応することはできません。できるかぎり子どもたちの変化に対応した新しい授業をしていこうという流れが起こってきています。
 子どもたちが教師の話を椅子にすわって静かに聞く、というこれまでなら当たり前のことが守れないないことが多くなってきました。こうした状況の子どもたちともっと楽しくやりとりしながら指導をするには、つぎのようなお笑いの世界に学ぶことを取り入れてみることを考えてほしいと思います。
(1)
授業で必要な脱線トーク
 真っ向勝負の授業だけでは、子どもたちはついて来なくなっています。原因は安心感の不足です。いっけん、くだらないと思える雑談をすることが子どもたちに安心感を与えることになります。
(2)
授業の導入で使う「つかみの技術」
 距離感が遠くなった子どもたちにとって教室は緊張感のある場所に変わりました。教師のちょっとしたつかみ型の導入技術が子どもたちの緊張感を引き下げてくれます。
 いきなり授業に入るには、教室が少しさめた空気である場合が多い。そのために、教師が率先して、いっけんバカバカしてと思えるパフォーマンスを演じることによって、教室の空気を温め、教師に集中させる行為が「つかみ導入」である。
(3)
子どもたちが集中する「フリの技術」
 これから展開する内容を知らせるのを「フリ」と言います。子どもたちが先の展開を予想したり、何かを期待します。そこで、子どもたちが予想・期待したことを裏切るのが「オチ」です。つぎに進むため、子どもたちの空気を調整してまとめをするのが「フォロー」です。
(4)
一人ひとりの子どもが生きる「フォローの技術」
 教師が学級に向け「キッパリ」とした物言いを、子どもたちはキツいと感じるようになってきています。同じ指示でも、ほんの少し「フォロー」を意識することで、子どもの居心地をよくします。
(5)
教師の個性を活かす「キャラの技術」
 子どもと子ども、子どもと教師の距離が以前よりも開いてきました。教師が自分の個性を活かしたキャラクターをつくることによって、子どもとの関係づくりをうながします。
(6)
教室が一気に和む「バラエティーゲーム」
 笑いを取り入れるため、ゲームを実施することで、子どもたちや教師のお笑い表現力をアップすることができます。
 具体例はテレビのバラエティー番組の中にあります。そして、そのバラエティーの中の芸人さん、タレントさんのコミュニケーション技術を真似てみてください。指導・授業の中のちょっとした場面にそれを応用してほしいのです。
 落語は「ストーリーテリング」の技術と「オチ」の手法を学ぶ。漫才は「ボケに対するフリやツッコミ」の技術を学ぶ。多人数トークは「仕切り」「フォロー」の技術を学ぶ。
 最初はうまくいかないかもしれません。しかし、何度か繰り返しやってみるうちに技術が身につきます。一つまた一つと、お笑い世界のテクニックを学んでいってください。
(上條晴夫:1957年山梨県生まれ、小学校教師(10年)、作家、教育ライターを経て東北福祉大学教授。学習ゲーム研究会代表、お笑い教師同盟代表、実践!作文研究会代表)

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