保護者とぶつからないで、保護者が味方に変わるようになるには、どうすればよいか
保護者から学校にさまざまな要望が出されるようになり、保護者がこわいと悩む若い教師からよく相談されるようになりました。
保護者との関係づくりは、実はそれほど難しいことではありません。ほんのひと言、ひと手間かけるだけで、保護者の反応がまったく変わることはよくあります。教師が保護者の立場や子育ての苦労を思いやることで、驚くほど保護者の態度がやわらかいものになることがあるのです。
例えば、保護者が担任に用事があって来校するとき、時間が事前にわかっているのであれば、担任は玄関で保護者を迎えるようにしましょう。担任が先導すれば、保護者は「ついていけばいい」と気が楽になります。保護者にとって、学校では担任だけが頼りです。
用事が終わると保護者は心が軽くなります。見送るために廊下を並んで歩いている間の会話もリラックスでき、本音を聞けます。これが保護者との信頼関係を深める時間となります。
わが子が問題を起こすと、保護者は「子育てが間違っているのではないか」と自責の念にかられがちです。保護者はそうしたとき、動揺し、落胆します。そういう時、保護者の子育てのよい部分を担任が認めると、保護者は心強い味方になってくれます。
期待通りに対応してくれる保護者もいれば、なかなか理解してもらえない保護者もいます。教師の不満な気持ちは驚くほど相手に伝わってしまうものです。保護者に不満を持ったときほど、慎重な対応を心がけないとトラブルのもとになります。
例えば、連絡帳に目を通したら、見ましたという押印をしてくれない保護者がいます。「押印をお願いします」と書いても、保護者はいい気持ちはしないでしょう。
そこで、子どものよいところを見つけ、質問するようにします。例えば「いつもハンカチを携帯しています。どうやって習慣化されたのですか?」と連絡帳に書きます。
すると、翌日の連絡帳には、家庭での取り組みがかかれています。それに対して担任は「お忙しい中、教えてくださりありがとうございます。さっそく子どもたちに話をしました。日頃、連絡帳に目を通してくださりありがといございます。押印の確認でもいいですが、このようなコメントの確認をいただくと、勉強になります。ありがとういございます」と回答します。
ついほかの保護者と比べて非難したくなったときこそ、このぐらい慎重に相手に受け入れやすい伝え方を考えましょう。
子どもが欠席すると、私はその日の放課後にお見舞いの電話をかけます。病気で欠席した場合は容態を聞き、早く回復することを伝えます。
欠席した子どもに「よし、明日は学校にいくぞ」と強く思わせたいので、ひと工夫した「連絡プリント」を渡すようにします。「今日の宿題は『安静にすること』です。勉強のことを忘れてしっかりと病気を治してください」と書きます。
特別な「宿題」を目にした保護者はわが子の体調を気遣い、細かいところまで配慮してくれる担任に感謝と信頼をよせることになるでしょう。
学級通信はクラスの出来事を羅列するだけでは保護者の心に残りません。保護者に目を留めてもらえるようにするため、私は「子どもとのやり取り」の意図を述べ、学校での出来事を家庭での子育てにも参考になるように書いています。
(城ケ﨑滋雄:1957年鹿児島県生まれ、千葉県公立小学校教師、教育委員会、不登校対策教員として不登校児童と関わる。荒れた学級の立て直し、小学校教師として教育情報雑誌「OF」等で情報発信している)
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