子どもが聞いて心地よい教師の声と、子どもが聞いてくれる話し方とは
聞き手に不快感を与える声とはどんなものでしょう。かん高い声は短時間ならいいのですが、3分もしゃべられると、きついものがあります。低すぎると怖い印象、ゆっくりだと眠気を誘ったりする場合があります。
聞いていて心地よい声というのは、
(1)声が少し高めで、少し速く話をすると、明朗で快活、若々しく活発で健康的に聞こえます。
(2)逆に、声が少し低く、少しゆっくりと話すと堅実、安心、安定感のある落ち着いた印象を与えます。
(3)リラックスした状態で、口をきちんと開けて、お腹から吐き出し、胸を開いて声をだすようにする。
(4)リズム感やテンポがいいと、安心して聞くことができ、とても聞きやすい。
リズム感を身につけるためには、楽しいと思いながら呼吸するように話すことです。楽しいときは、弾むように話しますよね。その弾む感覚をもって話すと、リズムがうまくとりやすくなります。
自分の声を録音してみましょう。そして次の点をチェックしてみましょう。
(1)声量・音程・速さ
声が小さいと聞こえにくく、自信がないように感じます。声が高く速いと聞き手が疲れる。低くて遅いと、頼りなく、聞き手の集中力が低下する。
(2)話に間がある
(3)語尾がきちんと聞き取れる
語尾をはっきりと言わない人が多い。日本語は、言葉の語尾(例:「・・・・・です」「・・・・・ではありません」)で決まることが多いので最後の言葉は重要です。
(4)同じ言葉を繰り返していない
「えー、」「・・・・ね」などを多用していませんか。ひとつの言葉を多用されると聞いていると、耳障りで、とても気になるものです。
(5)滑舌がよい
(6)長話をしない
子どもの集中時間は3分間です。子どもたちが話を聞いていないと思ったら、まず自分の長さをチェックしてみてください。一番早く修正できるのは話の長さです。子どもたちにもっと聞きたいと思わせるためにも、だらだらと5分も10分も話すのはタブーです。どんなに上手な話でも早めに切り上げて、もっと聞いてみたかったと思わせてください。
授業で教室の中をよく動く教師、そうでない教師、さまざまだと思います。授業で大事なことは、全体を見ることと、個々を見ること。この両方が大切です。
私は大勢の人の前で話すときは、ゆっくり右から左に見ていって、話を聞き込んでいる人とは必ず目を合わせ微笑かけます。私語をしている人のところで、よく目を止めます。
全体を見れば、自分の話がおもしろそうか、そうでないかはすぐにわかります。みんなつまらなさそうだなと思えば、少し話題を変えてみるのもよいでしょう。
授業で話を聞いていない子どもが多いと思ったら、気分転換してはどうでしょうか。横道にそれる話をする。3分間、目を閉じさせる。音楽を聞かせて歌を一曲歌う。ある数学の教師は説明が難しいと思ったら、創作ダンスでみんな笑いながら踊って、その後、集中させる。
子どもが夢中になるのは先生の体験談です。先生が教室で得意なことの体験談を話すときは、先生の目がキラキラ輝いて、楽しい話し方になっています。
子どもが話を聞かない原因にはいろいろあると思ってよいでしょう。授業を聞いていなかった子どもに、少しの時間でもよいから、じかに接して話を聞いてあげてください。教師がひと声かけることで、注目していることがわかれば、次回の授業から少し気持ちが違ってくると思います。
私は話しをするとき、まず結果を先に話すようにしています。例えば「東京都の23区のほとんどの学校給食は民営化しているって知ってました?」と結果から入ります。
まず結果を伝えると、相手を引きつけることができます。無駄も省けます。説明が多くなりそうな授業のときは、ぜひ結果から話してみてください。
子どもに興味をもたせるには「なんで?」「どうして?」と思わせることです。なんでと思わせて、それを説明する。説明の後に、次は「これには困った問題があるんだ」と意外性のある事柄をもってくる。そこでまた「なんで?」をつくり出す。そして最後にまとめます。
(中村弥和:1968年福岡県生まれ、LICフレグランス代表。アロマとハーブの予防医学の第一人者として20年の経歴、教育ジャーナリスト、人材育成講師として活躍。熊本放送アナウンサーを経て、TBS,ニッポン放送などレギュラー番組を持つ)
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