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教師に過失がないのに保護者が教師を批判し攻撃する場合、どうすればよいか

 他の保護者と同様に対応しても、マイナスに受けとる保護者、教育実践に対して批判的な保護者、攻撃的に苦情を言ってくる保護者がいます。
 教師に過失がないのに、このような対応してくる保護者の多くは、保護者自身に自分の問題を抱かえている可能性があります。性格や考え方に偏りがある、過去に受けた心の傷を引きずっている、さまざまな事情で冷静になれない心理状態にある、などです。
 したがって、そうした保護者と協同できるできるような関係を築くためには、プラスアルファの対応が教師に必要となります。
 まずは、教師が自分の教育実践や、子ども、保護者との対応に落ち度やマイナスの印象を与える行動がなかったかを再検討します。じっくり振りかえってもそういうことが思いあたらなかったら、保護者自身が問題を抱かえている可能性に配慮しながら対応していくことが求められます。
 こういう場合、教師はとても大きなストレスを抱かえ、ブルーな気分になってしまいます。ですが、保護者との関わりは教師と子どもの関わりに大きな影響を与えますから、冷静に対応していきたいものです。
 
そうした保護者の代表的なタイプと、配慮すべきポイントを次に示すと
1 被害者意識が強い保護者
 わが子が適切に扱われていないなどと、細かいことを取りあげて、連絡帳や電話で繰り返し教師に訴えてくる保護者です。 
 そのつど十分な対応をしないと「教師は何もしてくれなかった」と、不満を訴えたり「自分の子どもだけが被害者である」と、とらえて執拗に教師を非難してくる傾向があります。
(1)
心理状態
 被害者意識の強い人は、過去に人に傷つけられた、不当に扱われた体験を持っている。そのため、人を信じることができず、物事をネガティブにとらえ、自分への攻撃や侵害だと感じてしまいます。
 常時、不安感を持っている場合が多い。そうした不安感から身を守る手段が、侵害してきたと感じられる相手を非難する「攻撃」と、相手との関わり合いを避ける「逃避」です。不安にさいなまれた人は、冷静に問題を解決できなくなってしまいます。
(2)
対応のポイント
 不安が高まってくると、教師を非難する場合があります。保護者の不安から出た行動に「感情的に巻き込まれない」心構えが必要です。
 保護者の不安をやわらげるために、保護者に連絡する対応が必要です。例えば、定期的な連絡帳のやりとり、時間を決めて電話連絡する方法を確立しておき、日々の子どもの様子を定期的にまめに知らせ、安心させる。
 つまり、ふだんから、教師は味方なのだと感じられるような関係を形成しておくことが重要です。
2 子どもの非を絶対認めない保護者
 授業中に騒ぐ、子どもをいじめるなどのわが子の問題行動を、教師が説明しても、頑として認めない保護者がいます。教師が説明しても、保護者は冷静さを失い、教師を批判することも多く、建設的な話し合いができなくなってしまいます。
(1)
心理状態
 こうした保護者は、次のような3つのタイプがあります。
①子どもが家庭で見せる、いい子の顔と、学校の様子との落差が大きく、とても信じられないというタイプ
 親の期待に応えるいい子だった場合にだけ子どもを受容する、という傾向があります。子どもは親の期待に応えようと親の前でいい子になっている。
②親心として子どもを守ろう、信じることが親だという意識が強すぎて、わが子の非に薄々気づきながらも認めたくない、認められないというタイプ
③わが子の評価が保護者の評価のように感じてしまい、自分の立場を守るために、わが子の非を認めないタイプ
(2)
対応のポイント
 「教師がわが子を否定的に見ている」「子育てのあり方を非難している」と保護者が思っているうちは、教師に心を開いてきません。
 したがって、教師は「この子どもにために動いているのであって、親としての責任をとがめているのではない」というメッセージを、保護者に理解してもらえる対応上の配慮が求められます。
 話し合いのポイントは、「教師や他の子どもたちが困っているからではなく、その子の学習や学校適応に支障が生じる可能性があり、その対策を教師と保護者が協力して考えたい」というところから始めましょう。
 学校として、その子に効果的な対応をするために、家庭での保護者の工夫を教師が聞き、生かしていきたいという姿勢を見せることがまず必要です。
 その上で、具体的な行動について一つずつ話し合っていく。例えば「友だちに非を指摘されると冷静でいられなくなってしまうこと」について話し合う。
3 感情的に苦情を言ってくる
 自分の子どもが学芸会の主役になれなかったのはおかしい。うちの子が仲間はずれにされているのになぜ対応しないのか。という具合に、教師からすると突然苦情を言ってくるタイプの保護者がいます。
 かなり感情的になっていて、冷静に話し合うまで時間がかかってしまいます。
(1)
心理状態
 こうした保護者は、子どもから断片的に学校での出来事を聞き、自分の思い通りにならない出来事を悲観的に受け取り、感情が激して教師にぶつけてくるのです。
(2)
対応のポイント
 まず、その激した感情を静めてもらうため、十分話してもらいます。それをじっくり聞くことで、かなり激した感情も低下するものです。その上で、話の内容を順を追ってゆっくりと一つ一つ確認していきます。その際、話の内容の出来事と、保護者が推測したことをしっかり識別して整理します。
 例えば「Aくんたちとけんかしている」ということを子どもから聞いた(→事実)のですね。そのとき「うちの子どもはいじめられているのだと思った」(→推測)のですね、という具合です。
 こうした対応をすることで、保護者も次第に冷静になってきて、全体像が理解できるようになると、話し合いも建設的にできるようになります。
 保護者は、どこかで教師に話を聞いてほしいという側面もあるからです。結果として、激していたことも忘れたように納得して話も終わる、ということも多いものです。
(
河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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