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音読で学力が上がる、おもしろいと思わせる工夫をするとよい

 私は最初、子どもたちにはとても優しい先生として接します。そして、子どもたちとの関係づくりができたら、ビシバシと基礎づくりや、音読指導などを始めるのです。
 音読指導は厳しくやりますが、おもしろくやります。つまらなければ、子どもたちがついてこないからです。
 おもしろくする方法は、お笑い芸人のトーク技術と同じです。
 例えば「スイミー」の音読指導では、「ある日! 恐ろしい!!(ジャジャジャジャ・・・・・・・ジョーズの音楽のマネ)・・・えー、コマーシャルが入ります」と、「ある日」と「恐ろしい」で切って、恐ろしそうな顔と言葉で、しかもギャグを入れたりしています。「おっ! 見たこともない魚たちが!!」と、床面を見ながら言ったりします。
 常に、おもしろい読み方、笑わせる授業になるようにしています。同時に、その空間も感じるような音読です。私は「立体的な音読」と言っています。
 朗読の研究会に行くと「邪道」「淡々と読み、子どもたちに想像させなきゃいけない」と言われますが、私はおもしろくやって、実際に子どもを伸ばしているのだから、気にしません。
 逆に、読み聞かせの会の人たちから「教え方がわかりやすい」とほめられました。
 私は「一人の落ちこぼれも出さない」という信念を実現するために、教科書を音読する一斉指導で、子どもたち全体の学力の最低ラインを上げていきます。
 読めるというのはすべての教科の基礎・基本です。教科書をすらすら読めるというのは、どの科目もそこそこできる子です。教科書を音読させてみると、できる子、できない子が一度にわかります。
 私は国語だけでなく、全教科で教科書の音読をします。読めることはすべての基礎基本です。初めての文章は多くの子どもが読めません。これは、基礎・基本ができていないということです。なのに、もっと難しいことをやるのは無駄なのです。
 音読は理解の基本です。とにかくこれを続けると、クラスの平均点が驚くほど上がります。社会科のテストで、これまで勉強してこなかった子が100点を取りました。「がんばったな」と声をかけると「あれだけ教科書を読めば誰でも覚えますよ」と言いました。これぞ音読効果、自然に内容を覚えるのです。
 一回読んだら終わりとはしません。バリエーションをつけて、テンポよく繰り返し読ませます。例えば、全員で読ませる。一人ひとり短い文章で区切って次々全員に読ませる。班全員で声をそろえ読ませる。班の中で一人ひとりに順番に読ませる。班ごとに全員の前で読ませる。
 順番に一人が一文を読んだら、次に全員が復唱します。一つの班が読んで全員が復唱することもあります。そうすれば、ほかの子が遊ぶことがなくなります。
 今の子どもはイメージする力が弱いのです。私の学級では、大きな声で、強弱をつけたり、その場面をイメージさせながら表現する音読をさせています。例えば「このとき、『ごん』はくやしいと思ったのか、しかたがないと思ったのか」を何度も読み、何度もいろいろな読み方で読むことで、その場がイメージできるようになってきます。
 私の学級の音読授業を見て「まるで演劇のようだ」と言う人もいます。私は演劇のように音読する指導をしています。その登場人物になりきることで「その心情もわかるではないか」と思うからです。いろいろな視点で音読することで「さまざまなものの見方がある」ことに気づく子がいます。社会にでてからも役立つスキルだと思います。
 私が音読の良い見本を見せたり、子どもの中で上手にできた子がいたら、その子のやり方をみんなの前で見せたりします。上のレベルを見せて伸ばしたほうが全体的に伸びるのです。「どうして音読しなきゃいけないの?」と言う子がいますが、理屈ではなく、真似することが大事なのです。体で覚えたほうが、上達が早くなります。
 勉強ができない子というのは、まずスピードがありません。速くよめない。だから、ゲーム感覚で超高速読み競争をよくやっています。最初の一文を意識して速く読むのがコツです。その後の速度が規定されるからです。
 
「この範囲を10秒で読もう。ヨーイドン」と。繰り返してやることで遅い子も「ワー、読めた」となります。人間って速くやることが好きなんです。いろいろな面でスピードアップできます。
 もちろん、落ちこぼれそうな子は、個別に入念なケアが必要です。集団をレベルアップさせつつ、個別にも関わります。だから私は、授業の中で一斉指導と個別指導をミックスさせています。その子だけに関わっていたら他の子が騒いでしまいますので、個を指導しながら全体を、全体を指導しながら個を指導しています。
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杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都の小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている) 

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