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学級崩壊させないためにも、今の時代の教師として身につけるべき資質とはなにか 

 私は教師生活が20年を超えていますが、教師に必要な資質をあげろと言われたら、次のように答えます。
1 いつも笑顔でいること
 教師が子どもたちのそばに、いつも上機嫌でいること以上に教育効果を発揮する教育手法などないと、考えるに至りました。教師は子どもたちのモデルです。もし、子どもたちと和気あいあいと過ごし、なごやかな子どもたちを育てたいと思うならば、教師であるあなた自身が常に上機嫌で「いつも笑顔でいること」が必要なのです。
 いつも機嫌よく過ごすためには、よく寝なければならない。余裕をもって仕事を進めなければならない。子どもとのトラブルさえ楽しめるような心の余裕もっていなければなりません。それができないうちは、実は教師としての実力もまだまだなのです。
 楽しくないことがあっても、多少体の調子が悪かったとしても、子どもたちの前では上機嫌に振る舞えることが、教師にとって最も求められる振る舞いなのです。そういう原因が自覚できれば、けっこう対処の仕方というものはあるものです。それを意識して子どもたちの前に立っているうちに、特に意図的に振る舞わなくても、ほんとうに上機嫌でいられるようになるものです。
 いつも笑顔でいることができないということは、おそらく人生を楽しめてない場合が多いのではないか、私はそんな気がします。
2 孤独に耐える力をもつこと
 教師という職業は、子どもたちを「社会に有用な人間」「将来、自分で生きていくことができる人間」にするために「自立した大人」へと成長させるためにあるのです。子どもに好かれるためにあるわけではないのです。
 教師が良かれと思ってしたことが子どもや保護者に理解してもらえないことがあります。教師には子どもや保護者とぶつかったとしても筋を通さねばならないことがあります。それでも笑顔でいなければならないということです。自分が正しいと判断したこと信じて行う。人を導くには孤独をかみしめることも少なくありません。幾度となく孤独に耐えねばならないのです。それがリーダーであり指導者なのですから。
 子どもに嫌われるのに耐えられなくなったり、保護者のクレームを怖れて事なかれ主義に陥ったり、同僚とのあつれきを避けて納得できない提案を受け入れたりするのは、すべて「孤独に耐える力」欠如が原因なのです。教師たる者は孤独に耐えねばならぬという覚悟が必要です。
3 無駄もまた楽しむ
 教師は子ども相手の仕事です。当然、指導してすぐに成果があがるとは限りません。すぐに成果が上がらないのが普通です。一度指導しても、また同じことを子どもがしてしまうこともあります。
 
「あんな子に指導しても無駄だから指導しない」と言っている教師がいました。気持ちはわからないでもありませんが、それは仕事を放棄しているのと同じです。だって、教師の仕事は無駄の連続なのですから。無駄だからしないと言ってしまっては、教師の仕事はほとんどなくなってしまいます。
 一つの指導、一つの取り組みによってすぐに効果があらわれることは皆無です。それを続けることでしか、成果があがることはないのです。「それでもやる」、教師の仕事はその連続です。やり続ける覚悟が必要なのです。長いスパンで子どもを見つめていると成長しているものです。いろんなことが見えてくるものです。
4 子どもといっしょに馬鹿げたことを楽しめること
 人はいっしょに笑った分だけ、人間関係を築くことができます。いっしょに楽しく過ごすということだけが重要なのです。学生時代の友人とのやりとりを思い浮かべれば合点がいくはずです。一見意味のない、くだらないことにいっしょに取り組む。そしてばかばかしいなと大笑いする。
 行事やレクレーションなどでは、子どもたちとともに楽しむ姿勢が必要です。何度もいっしょに行うことが、少しずつ大きな意味をもち始めることもあるのです。
 いつも苦虫を噛みつぶしたような表情をしていたり、口うるさくお説教ばかりしていたりしていて、子どもたちに「自分の言うことを聞け」と言っても無理があります。もちろん、必要なときには指導をしなければなりませんが、日常の学校生活においては、馬鹿げたこと、くだらないことを子どもたちといっしょに楽しめる感性をもちたいものです。
5 学級を統率していくコミュニケーション能力
 学級崩壊にならないためには学級を統率していく力が必要です。それには、つぎのような3つのコミュニケーション能力が必要です。
(1)
自己主張
 自分の意見をしっかり主張することができ、他人のネガティブな言動や態度に対してしっかりと戒めることができる力。
(2)
共感力
 他人に対して思いやりをもち、他人の立場や状況に応じて考えることのできる力。リーダー性にとって絶対に必要とされる能力。
(3)
同調力
 バラエティ番組に代表されるような「場の空気」に応じてボケたりツッコミを入れて盛り上げたりしながら、常に明るい雰囲気を形成する能力。現代的なリーダーシップには不可欠と考えられている。
 教師はいま、この3つの力の総合力としてのコミュニケーション能力をもたねばならない立場に置かれています。ベテラン教師、お母さん教師、優しいお兄さんお姉さん教師が学級を統率できずに学級を崩壊させる要因がここにあります。
6 自らを変える
 教師は成長することが重要です。成長とは自らを変えることです。常に自らを変化させようとアンテナを高くする。現状を一歩でも進める方法はないかと常に考えている。そういう教師だけが子どもたちを導く資格があると私はそう考えています。
 教師は何より変化を恐れます。変化しないことが楽で安全で安心だからです。しかし、同じ手法を8~10年程度使っていると、時代の変化や子どもたちの変容によって耐用年数が切れてくるものです。転勤して質の異なる子どもたちを受け持っているにもかかわらず、同じ手法で実践し続けるという傾向もあります。常にいま目の前にいる子どもたちの実態に合ったシステム、スキルを身につける必要があるのです。
 教師が変わるために最も必要なことは「自信」です。変えることによって、想定外のことが起こる。それに対応できるという自信がある人はシステムやスキルを変えることができるのです。自信をもっていない人ほど変えられません。
 教師は子どもたちに「変われ」と言い続けなければならない立場にいるのです。そんな私たち自らが現状維持に安住しているとしたら、子どもたちの前に立つ資格があるのでしょうか。
 成長しないことは子どもの前に立つ資格を問われるほど重大事なのです。成長とは現状を破壊し再構築すること、即ち「変化すること」なのです。
 教師が日々学び続け、日々変化し続け、日々成長し続けることによって、教師が自信をもって子どもたちに言おうではありませんか「成長せよ、私も成長する」と。
(
堀 裕嗣:1966年北海道生まれ、札幌市立中学の国語科教師。92年、国語教育研究サークル「研究集団ことのは」を設立、道内の民間教育団体でつくる「教師力ブラッシュアップセミナー」顧問)

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