教師が保護者と話をするときに気をつけることとは何か
人は見た目で多くのことを判断します。見た目が大切です。保護者に対して、きちんとした身だしなみで臨むべきでしょう。保護者は教師の態度に敏感です。話してないときでも、常に全部みられているのだと思ってください。
緊張していても、無理にでも笑顔を作りましょう。笑顔は、人の心をやわらかくしてくれます。鏡を見て口角をあげるようにします。目の周りを軽くマッサージして、目じりを少しさげるようにします。
保護者に安心感を与える話し方というのは「熱意」の感じられる話し方です。保護者は教師の熱意に対しては敏感です。
保護者はどういうことに不安を感じるかのかというと、やる気の見えない教師。視線が定まらない。下を向いて話す。声が小さくて聞き取りにくい。書いたものを読んでいる。というような教師に不安を感じます。やはり、見た目が大きいということです。
教師が話しをしているとき、保護者が一番注目するのは、この教師は信頼できるかどうか、ということです。それを話のはしばしから嗅ぎ分けてきます。保護者が最も嫌うのは、自分の行為を言い分けすることが多い教師です。自分の身を守ろうとする行為ですから、保護者の信頼は絶対に得られないでしょう。
大げさに自分を宣伝するような教師は「えらそうなことを言ってるわ」などと、保護者に反発されないよう、誠実に話をすることが肝要です。教師の話を聞きながら、教師の子どもへの姿勢がどのようなものかを保護者は見ているのです。
教師の年齢や子どもがいるかいないかも、保護者が教師を見る一つの大きな要素です。教師は年齢、経験を踏まえて、等身大の自分を素直に語ることが一番よいと思います。
教育には専門用語があります。教師は教育のプロですから、専門用語を知っていることを保護者に示さないと値打ちがありません。専門用語は、できるだけかみくだいて、中学生にでも分かる言葉に置き換えて話すべきです。
保護者会で反応を見ていたら「どうもうまく伝わっている感じがしないな」と思ったときは、「今の話は、分かりにくかったですか?」と、たずねましょう。「ごめんなさい。もう一度、説明し直します」と話し直すことです。時間がなければ、通信などの文書を配布してフォローするしかありません。
保護者会には、子どもたちの笑えるエピソードとか、オチのある話を用意しておきます。
保護者会で話すとき、緊張してあがってしまうこともあります。そういう心配のある教師は、あがることを前提として、準備をしておくことです。「あがっていると感じたときは、こうする」というものを用意するのです。そうすると落ち着きます。
個人面談のときに伝わっていないなと感じたときも、はっきり伝えて誤解のないよう分かり合える努力をするべきです。話の元となる事実の認識が違っている場合もあるので気をつけましょう。
個人面談では、保護者一人ひとりに応じてていねいに対応しましょう。基本は、子どものよいところの事実をあげて話すことです。「○さんは、黙って黙々とそうじの後片付けをしています。おうちでも、そうですか?」というように具体的な事実で話しをします。
個人面談では、私は保護者の話を「聞き切る」ことを大切にしていました。保護者の話をじっくりと聞いてあげれたら、保護者の方も、こちらの言葉に耳を傾けてくれるようになるのです。
話し方には個性があっていいと思います。しかし、やってはいけない話し方があります。次にあげるような話し方は、気をつけたほうがよいと考えます。
皮肉まじりに話す。第一声が小さな声になる。言葉づかいが乱暴である。同じことを何度もくり返して言う。話すときの姿勢がよくない。長話や長い説教。声が暗い。抑揚がない。
話し方というものは、話す技術と同時に精神的な要素が大きいものです。話す技術だけを追求していけばよいというものではなく、教師の教育観というものが大きく関係してくると思います。
(多賀一郎:1955年生まれ、神戸大学附属小学校を経て私立小学校教師。退職後は追手門学院小学校講師、専門は国語教育。在職中に日本私立小学校連盟国語部全国委員長歴任。親塾・教師塾等で保護者・教師教育の手助けをし、全国で講演)
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