保護者から無理な話を持ち込まれたら、どうすればよいか
学校には、保護者からこれは無理だと思うような話が持ち込まれることがあるでしょう。どうしてこんなことをと、思ってしまうことがあります。怒りたくなることもあれば「非常識だ」と、言い返したくなることもあると思います。
でも、ちょっと深呼吸してみてください。教師なら何とかしてくれるかと思って、保護者が話をもち込んでくるのだ、とひとまず考えてみたらいかがですか。
しかし、いくら考えてみたらいかがと言われても、無理なことは無理でしょう。でも、無理かどうかは、自分一人の判断でいいのでしょうか。ゆとりのある人は、ここで一呼吸入れます。もち込まれた話の内容によっては、校内で相談してみる必要もあるでしょう。
一方、ゆとりがないと「それは無理です」などと、頭ごなしに言ってしまうでしょう。「それは無理だ」と言い切ることは、勇ましいし気分もいいでしょう。しかし、言い切った時には、保護者と絶縁状態の発生を覚悟した方がいいのです。
教師は学校組織の一員です。一存でものを言っていいかどうかはとても大事なことです。「一存では答えかねるので、ちょっと考えさせてください。2、3日後にはご返事しますから」と、話を預かる知恵は、教師にも必要ではないでしょうか。世事に疎いと対処に失敗しがちです。
無理な話や厄介な話を聞いた時「わかりました」と答えると、後日、「わかりました」を巡って、またまた厄介になることがあります。保護者は「わかりました」のひと言に、自分の主張や言い分を了解してくれたと思ってしまうことがあります。こちらは、保護者の言っている内容が何かわかったので「わかりました」と言っただけなのに。
そこで何と答えるかが大事。あなたの言いたいことは聞きとったと「お話しの内容はわかりました」と、きちんと言うことが必要なのです。こうすることで誤解は避けることができます。教師の表現力の問題だといえます。
そして、厄介な話であればあるほど、自分一人で思い悩まないことです。自分が責められているようなことであっても、校長(教頭)に報告したらいいのです。大火になると消しにくい火災も、ボヤのうちなら消しやすいといわれていることを、この際はぜひ思い出してみてください。
ただし、報告したら一件落着ということではありません。報告すれば事は済んだと、当事者意識をすっかり忘れてしまう教師が最近は増えていないでしょうか。あれこれと校内で相談し合って、対処したり回答したりすることは当然ですが、報告したからと言って自分の役割が済んだのではないでしょう。窓口は自分だ、次の対応もまた私がするのだと考えることを忘れてはなりません。
(飯田 稔:1933年生まれ。千葉大学附属小学校に28年勤務、同校副校長、千葉県浦安市立小学校校長を経て、千葉経済大学短期大学部名誉教授。学校現場の実践に根ざしたアドバイスには説得力がある)
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