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教師たちが悩んでいることとはなにか

 学校現場で悩んでいる教師をサポートしたいと「悩める教師を支える会」を立ち上げました。全国の学校を年間3040校を訪問してきた私ですが、そこで目撃した学校の現状は、私の想像をはるかに超えていました。
 荒れた子どもたちは教師のコントロールの範囲をはるかに超えていました。こうした子どもたちからの攻撃に、保護者からの攻めが加わります。
 先生をカウンセリングしていますと、教師を辞めたいという人の8割が保護者からの攻撃が大きなきっかけとなったと言います。「困った親とのつきあい方を教えてください」という相談が年々増え、絶えることがありません。
 教師たちは、保護者から次々と矢のようにあびせられるクレームの対応に疲弊しきっています。
 教師の悩みは大きく分けて4つあります。
1 雑用の多さ
 書類の量だけでも10年前にくらべ2.5倍に増えていると言われています。
2 子どもとの関係
 教師をなめて、集団で振り回す子どもが増えています。荒れた子どもたちは教師のコントロールの範囲をはるかに超え、女性教師や一見軟弱そうな男性教師がターゲットにされています。
 ADHDなどの、障がいをともなう多動の子どもたちへの対応が問題になっていますが、彼らへの対応は困難を極めます。授業中パニック状態に陥って教室を飛び出していく。教師は放っておけないので、その子の後を追います。すると残された子どもたちは騒ぎ初めて騒然となる。それが学級の荒れにつながっていくケースがけっこうあるのです。
3 同僚教師や管理職との人間関係
 かつては日本の学校は、先輩教師が後輩教師をサポートし、教師間のチームワークのよさがありました。しかし、学校での成果主義の導入で、教師間や管理職とのあいだに冷ややかな空気が生じ、サポート力が低下しているように思えます。
4 困った親への対応
 困った親に共通しているのは、きわめて利己的、個人主義的で、自分の子どもの立場からしか、ものを考えられないことです。
(1)
わが子しか見えない
 困った親たちの中で、最も一般的なのが「わが子しか見えない」親です。このタイプは授業参観をはじめ、あらゆる学校行事でみられます。
(2)
子どものためのお金を惜しむ
 給食費は払う必要がない、払えるけど払いたくないと思っている親が、経済的な問題で滞納している親を上回っています。
(3)
親の責任を放棄している
 多くは、生活が乱れ、子育ての責任を果たす気がなく、子どもに本気でかかわるのを面倒がります。
(4)
子どもの言いなり
 子どもに甘すぎて、子どもの欲しいものを買い与え、きちんと叱れない親も増えています。
(5)
子どもにキレる
 子育ては根気がいる。そのストレスに耐えきれずにキレてしまう親がすごく増えています。
(6)
学校や教師をストレスのはけ口にする
 子どもの教育には関心がないけれど、文句だけは学校に言う。何かストレスを抱えていて、それをどこかにぶつけたいときに、標的にしやすい学校や教師に向ける。
 以上のような親は一部ですが、言動は笑ってすまされる範囲を超えています。教師を振り回し、学校の機能を破壊しつつあります。
 教師の多くはすばらしい人ばかりです。この教師受難の時代にあえて教師になった人たちばかりです。情熱もあり、教育技術も備わっている教師でも、学級崩壊が起きています。
 いまや、教師の力量があればうまく学級経営ができて、いい授業ができるなんて、言えなくなってきました。その限界を超えたレベルの悪質な保護者や、子どもたちがたくさんいるのです。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授。専門は臨床心理学、カウンセリング心理学。現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている。「教師を支える会」会長)

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