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子どもに好かれ、子どもとつながるにはどうすればよいか

 学級づくりは、まず「担任と子どもたちとの人間関係づくり」から始めます。担任は全力で子どもたちとの関係づくりに努めることが大切です。「教師の指導力は子どもとのつながりの強さに比例する」との自覚が教師には必要なのです。
 担任が目標を達成しようとしても、子どもたちとの信頼関係がないところでは、目標の達成をしようにも、子どもたちは受け入れないのです。つまり、担任と子どもたちとが信頼関係をつくることで、学習指導や生徒指導ができるのです。
 では、担任と子どもたちは、どうしたらつながることができるのでしょうか。
 子どもとつながるには「子どもに好かれること」です。好きな人の言うことは聞くが、嫌いな人の言うことは聞きません。子どもに好かれる教師になるには、一緒に遊んでくれる。時間を守る。熱心に教えてくれる。頭ごなしに叱らない。間違ったら謝る。などいろいろ挙げることができます。
 好き嫌いは個人の感覚の問題ですから、子どもによって違ってきます。では、子どもに好かれる最低条件はなんでしょうか。それは「子どもが好きであること」です。しかし、子どもを好きな教師でも、子どもとうまく関係がつくれない人がいます。なぜでしょうか。
 教師が子どものほしいものを与えることができていないということです。それでは、子どもは何を求めているのでしょうか。それは「教室で自分の居場所を見つけること」です。
 教室が居場所になるためには、教師が「あなたのことを見ていますよ」「認めていますよ」というサインが重要な働きをしていると考えられます。子どもは、いつでも、ちゃんと自分を見てくれている人を好きになります。
 だから、教師はいつも「あなたを見ているよ、大切に思っているよ」というメッセージを発するようにします。気持ちを伝える。注目しているならば、その事実を伝えるようにします。具体的には
1 見ていることを伝える
(1)
「・・・・いいなあ」「・・・・・好きだなあ」と伝える 
「美しい字だなあ」「いい意見だなあ」「○さんのそういうところ好きだなあ」と、いいと素直に認めます。本気でないと伝わりません。
(2)
変化を見逃さない
 ちょっとした変化に気づいてもらうと、子どもはうれしいものです。しつこくしないのがコツです。
(3)
努力や過程を見る
 
「がんばったんだね」と声をかけます。
(4)
感謝する
 
「窓を開けてくれてありがとう」など、日常の行為をあたりまえと見ない。
(5)
感動する、笑顔でいる
 力のある教師の共通点は「機嫌がいい」ことです。教師が笑顔でいると、子どもに安心感を与えます。きわめて大切な技術だと思います。
(6)
ねぎらう
(7)
アイコンタクト
(8)
誕生日を祝う
(9)
暑中見舞い、年賀状、サプライズレター
 そこにクイズを入れたりします。その日のがんばりを書いて机のなかに入れておきます。
2 一緒に遊ぶ
 子どもは遊んでくれる先生が好きです。まずは、一緒に遊べる子どもと遊び、遊べる子どもを増やしていきます。遊ぶのが苦手な教師はおしゃべりが有効です。
 教師が本当に楽しみ、ちょっとでもいいから「盛り上げる」ようにします。子どもと同じくらいのテンションで始め、ちょっとテンションを上げて終わるくらいでいいのです。
3 叱る
 子どもには叱ることは必要です。場合によっては、かなり厳しく出なくてはなりません。
 自分で悪いとわかっていてもやめられない場合もあります。そういうときは、ちゃんと叱ってあげたほうがいいのです。
 また、人権侵害行為には、毅然とした態度で、こってりキッチリと指導する場合も必要になってきます。重大事件に発展する可能性があるからです。叱る勇気を持ちましょう。
 叱ってダメ出しするのですから、そのままにしておいてはいけません。子どもの居場所を奪わないように叱るにはどうすればよいでしょうか。
(1)
恥をかかせない
 大勢の前で大声で叱ることはさけたほうがいい。
(2)
叱る基準を示しておく
 命の危険にさらす。いじめなど人権侵害。集団への迷惑行為。宣言した以上に絶対守ります。徹底的に指導しないと嘘だと思われてしまいます。
(3)
短く叱る
(4)
一度に叱ることは一つだけ
(5)
人格を否定しない
(6)
逃げ道をつくる
 適度なところで逃げ道をつくってあげることも大切。
(7)
終わりは穏やかに
 最初から最後まで激しい指導では、心を閉ざしてしまいます。
(8)
フォローする
 叱りばなしにしない。フォローのひと言が大事です。
(
赤坂真二:1965年新潟県生まれ、小学校教師(19年間)を経て、上越教育大学教授。アドラー心理学アプローチの学級経営を研究。現場の教師を勇気づけたいと願い、研究会の助言や講演を実施して全国行脚している)

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