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カウンセリング・マインドを持ち、子どもを包み込むと子どもは激変する

 私は、教師や親がカウンセリング・マインドを持って子どもに接してほしいと思っています。カウンセリングの究極は、「子どもの心に寄り添う」ことと「傾聴」だと思います。子どもの話を、全身を耳にして聴き入ることが、信頼回復にはとても重要であると思います。
 子どもが「この人は、本当に自分のことを知りたがっている」と思うと、子どもの感性というものはピクッと動くのです。その子どもの感性をピクッと動かすことができれば、子どもの問題の大半は解決できるのではないてしょうか。
 そして、その子どもの感性をピクッと動かすことこそが、カウンセリング・マインドの基本であると思います。しかし、今の日本のカウンセリング・マインドは、誤ったものになっているのです。子どもに無限に迎合することなく、きちんとけじめをつける必要があります。
 私は、子どもを無限に甘やかすことだけはしません。無限の愛と慈しみと受容は注ぎますが、そのかわり、どんなに厳しくても、子どもに言わなければならないことは、必ず言います。ただし、時間をかけて、子どもに無理のないように表現していきます。
 なぜ、子どもを受容し、傾聴するのか。それは、子どもの内面にあるものを吐き出させるためです。子どもの心の中に眠っている感性を動かすためなのです。たった一度でも心がピクッと動いたならば、もうそれでいいのです。
 私は、日本中のすべてのお父さん、お母さん、教師に、目の前にいる子どもたちに対して、カウンセリング・マインドを持ってほしいと願ってやみません。
 子ども包み込むと子どもは激変します。
 私はカウンセリングを学生時代から始め、二十年ほどの教師生活と、約十年間のニッポン放送での人生相談などを経て、何万人という子どもたちとその親たちに関わり、貴重な経験をさせてもらってきた。
 覚醒剤をやめられない子、自宅に引きこもって暴れる子、売春に走る女子中学生、みんなそれぞれに悩み、心を病み、あきらめから、ひらきなおって荒れてしまっているように見えた。
 暴力団に引き込まれた子どもを、私は帰してもらいに行った。家庭内暴力でナイフを振りかざす子どもに、私が「わかった、私を刺してくれ」と体をあずけたりして、「これで私の命もおしまいか」と腹をくくったことも百回ではおさまらない。
 これまでの数々の経験から得たものは、はかり知れないが、中でも世の大人たちにぜひとも知っておいてほしいことがある。それは、「子どもを愛をこめて包み込むこと」が、荒れる子どもたちの心を揺さぶり、胸の奥にしみ入る魔法の薬、つまり起死回生の特効薬になり得るということである。
 生きる喜びを知らない子どもたちには、一人ひとりと真剣に向き合わないと、効果は絶対に表れない。ある子どもは、延々十時間、手を握って話し込んだ。「いつでもきみの味方になってあげたい。応援しているから、何かあったら相談に来てほしい」と。
 私は、人間というものはさまざまな不本意な思いを心に抱かえながら生きていかねばならぬこと。その中でよりよい生き方を、最後の死の瞬間まで求め抜いていくことの価値を訴えた。
 するとようやく、「先生はとっても優しいんだね。わかった、もう明日からやめるよ」と約束してくれた。やはり子どもはいつも「ぬくもり」を求めているのだということが身にしみた。
 触れ合いたがっている子どもを拒絶すると、とんでもない方向へ曲がってしまうこともわかった。子どもにとって、自分が必要とされているという気持ちは、善悪を問わず、何ものにも代えられないものである。
 どれほどすさんだ心も、温かい「包み込み」さえあれば、必ず癒されて立ち直れると断言する。「子どもを認める温かい言葉」を投げかけることです。たとえば、相手の存在を認める「ほめ言葉」は、かたくなに閉じられた心をほぐす万能薬でもあるのだ。
 子どもの心に響くためには、子どもの視線に合わせて、一対一でほめ言葉で接するようにする。上から目線に構えて説教しないこと。
 手をしっかり握って、子どもの目を見つめて、「きみのことが心配だから言わせてほしい」と真剣に語りかけることも「包み込み」である。
 ふだんから、「いつでも何かあったら協力する。あなたを守ってあげたい。一人で悩まないで頼ってほしい」と言い続けることも「包み込み」である。
 このように、子どもは自分が愛情を受けている、必要とされているという認識を持っていれば、けっして道を踏みはずすことはない。一時期、道からはずれたとしても、それまでに受けた「包み込み」の蓄積があれば、必ず自分の力で立ち直ることができる。
(濤(なみ)川栄太:19432009年、小学校教師(20年間)、ニッポン放送「テレホン人生相談」回答者(10年間)、教育相談(40年間)。悩める子どもたちに体当たりで励まし立ち直らせた)

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