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よい授業をしても学級崩壊を防ぐことがむつかしい時代になった、どうすれば学級崩壊を防げるか

 学級が機能不全になって学級崩壊するのは若い教師の学級だけとは限りません。ベテランの学級、地域の指導的立場にある教師の学級、主任の学級、そうしたキャリアとは関係なく、学級が機能不全に陥り学級崩壊する可能性があるのが現状です。
 かつては「よい授業をすれば、よい学級ができる」と言われてきました。そのころは、学級のほとんどの子どもたちが授業に協力的であり、授業を妨害するような子はいませんでした。反抗的なやんちゃ坊主も授業中はとりあえず学習していました。
 こうした、ある程度授業が成立している状況であれば、子どもたちの「知的好奇心を刺激して」、子どもたちが「活動する」授業をすれば、学級の機能が高まった状態になりました。それは、子どもたちが授業という土俵に乗ってくれていたから、できたのです。
 私は崩壊した学級を担任したことがありますが、積極的に授業妨害する数名の子どもたちと、半数近くの非協力的な子どもたちがいました。学習をしたいと願う子どもたちもいましたが、授業に協力したりすれば、後で何をされるかわからない雰囲気の中では、息を潜めてじっとしていました。
 どんなによい授業をしようとも、機能しない学級では効果はありません。それが学級崩壊なのです。
 そうした事態をなんとか打開しよう、多くの学校で実践がなされてきました。そこから見えてきたのは「学級づくりは、教師と子どもの信頼関係づくりが基盤である」ということです。
 学級の機能というのは何なんでしょうか。学級は学習集団としての機能と、生活共同体としての二つの機能があります。学級は人格形成のために、学習指導や生活指導があり、そのねらいをうまく達成するためにあるといえます。
 ねらいを達成するために、わが国の教師は、教師主導の学級よりも、子どもたちが自分たちで学級をつくり、運営していく学級を望んできました。究極のねらいである人格の形成は、多くの場合、子どもたちの適切な人間関係の中でつくられてきました。
 学級に起こる問題は、ほとんどが人間関係の問題です。個人では解決できないものが多く、仲間との協働による問題解決が必要となります。
 仲間と協働するには、互いがかかわるためのルールが必要です。当然、互いを傷つけないためのルールも必要となります。
 また、協力して問題を解決することによって、そこに一人ひとりの居場所ができて、そこで互いに尊敬し合うような関係を築くことができます。学習場面でも、学習課題を協働で問題を解決するよう仕組むべきだと思います。機能する学級とは、協働的な問題解決能力をもった集団だと言えます。
 協働的な問題解決には、子ども同士の信頼関係が必要です。関係性の悪い子どもと協働して学習することはできませんから、協力ができる程度の信頼関係は最低限必要です。
 その子ども同士の信頼関係を支える基盤は「教師と子どもの信頼関係」なのです。今の時代、教室で、子ども同士がかかわるには、私的グループ以外は相当な勇気が必要になります。教師から見ればみんな仲間でも、子どもたちから見れば、お互いは他人です。
 機能する学級をつくる出発点は、教師と子どもたちとの信頼関係です。そこにあるのは、教師と子どもたち一人ひとりの個人的信頼関係です。信頼される教師は、子どもと個人的信頼関係を結ぶことに成功した教師のことをいいます。
 私が師匠である橋本定男氏から学んだ学級づくりの極意は、教師が「子どもたち一人残らずひいきすること」です。必要なことを端的に言い当てています。私は、この言葉を心がけるようにしてから、私の学級づくりは変わったと思っています。
 一部の子どもをひいきしたら学級崩壊を招きます。しかし、全員をひいきすることができたら、究極の指導力を手に入れることができます。つまり「一人残らず、私は先生に愛されている」と実感させるのです。 
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赤坂真二:1965年新潟県生まれ、小学校教師(19年間)を経て、上越教育大学教授。アドラー心理学アプローチの学級経営を研究。現場の教師を勇気づけたいと願い、研究会の助言や講演を実施して全国行脚している)

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