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一部保護者による無理難題や学級崩壊を防ぐ対応に教師は疲れている

 校長室を訪れた、ある父親の開口一番の言葉は「あの担任は、若いからだめだ」でした。あちこちで耳にするクレーマーの話。どれ一つとして良い方向に解決したものはないと言えるような有様です。今、日本中いたるところで、よく似た現象が起こっています。
 学校現場で、一部保護者の学校への無理難題により、大半の先生が疲弊している感があります。先生方にとっては、それこそ「戦線恐々の毎日」と言っても過言ではないでしょう。
 新任教員に「あなたの困っていることは?」と問うと、圧倒的に多いのが「保護者対応」です。クレーマーの話がある限り、日本の教育の前進はないと断言できるのではないか。保護者対応のつまずきで教職を去った教師の存在をクレーマーの親たちは知っているのでしょうか。
 疲れ切った先生たちは犠牲者です。その先生に育てられる子どもたちもまた、犠牲者です。私はこうした疲弊した教育現場の状況が日本の教育を悪くしていると思っています。一刻も早くこの状況を打破しない限り、子どもにとって良い教育環境は生まれてきません。
 私は、校長職を辞してからも、若い先生を育てるための教育サークル活動をしています。土曜日に若い先生方と実践事例を持ちより、その時に発したことばの一つひとつについても私たち教師がどう感じ、どう対応すべきかを一緒に考えることにしています。
 私は学級崩壊ということばがマスコミでいわれているとき、使うべきでないと主張しました。私は「学級の中にたった一人でもいい、正常な学級運営を望んでいる子どもがいる限り、学級崩壊というべきでない。それは教育の不在を意味するからだ」と主張した。
 この学級崩壊がいわれている時期に、多くの経験豊かな先生方が教職を去られました。このほとんどの方が
 
「私は一生懸命に教育に携わってきました。しかし、今の子どもたちを見ていると、このまま教師を続けていける自信がありません。昔、共に遊んだり学んだりしたような子どもはもういません」
 
「ちょっとしたことでも『教育委員会に訴える』などと保護者からも攻撃され、教師と子どもの信頼関係や、保護者との連携も失われてしまいました」
と、おっしゃいました。特にベテランと言われる先生方の間で、この傾向が見られました。
 また、一部でありましょうが、子どもへの指導が通らなくなったことが先生一人の指導の問題にされてしまい、先生を助ける職場の雰囲気がなかったり、あってはならないことですが、管理職の対応がまずくて先生が「孤立無援の立場」に追い込まれたりしていた現実があります。
 たいへんでも、今までの経験が活かされていれば、さらには、管理職が全面的に支えていれば、退職につながるようなことはなかったはずです。退職したみなさんは一様に、寂しさを抱えておられたのが印象的でした。
 一部保護者の無理難題と学級崩壊は同時進行しているように思います。
 そのとき、当該の子どもたちや保護者はどうだったでしょうか。先生を退職に追いやったのは自分たちだ、という自覚などありません。このような状況のもとで、一部保護者の学校への理不尽な攻撃がモンスターペアレントなどと問題視されるようになりました。
 一部保護者の担任攻撃は、それまで一生懸命に教育に携わって教師を疲弊させ、教育現場に重苦しい雰囲気と重苦しい進行を残す結果となりました。モンスターペアレントと言っている間にどんどん教育破壊は進んでいるのです。
 今、日本の学校の先生たちは、完全に疲れきっています。かつてそうであったように、先生が「健康で明るく子どもたちと向き合える状況」をつくっていきたいと願っています。
 日本の先生たちが元気を取り戻すことこそが、日本の子どもを元気にすることにつながると思っています。
(
西林幸三郎:大阪市公立小学校教師、大阪市教育委員会教育相談室長、校長を経て、大阪芸術大学初等芸術教育学科教授。児童虐待防止協会執行理事、大津市いじめ事件に関する第三者調査委員会委員、「NPO法人こころの子育てインターねっと関西」運営委員、臨床心理士)

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