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保護者のクレームを防ぐには、どのように保護者とコミュニケーションすればよいか

 保護者から学校や教師への苦情が増えています。苦情の中でも無理難題と感じてしまうものを大阪大学教授の小野田正利さんは「イチャモン」と呼んでいます。小野田さんは、教師と保護者の関係が深刻化した事例を見れば見るほど「イチャモンは宝の山」だと述べています。
 この「イチャモンの宝の山」で見つけたことは
(1)
初期の段階での関わりが、関係の悪化を招いてしまう場合が多い。
(2)
それ以上に、問題の起きる前に先手を打つこと(未然防止)が重要だ。
ということです。
 保護者のクレーム問題は、教師と子どもと保護者の三角関係の中で起きます。この三角関係を良好に保つこと、これが未然防止に必要なことです。
 人間は好きと思ってくれている人を好きになりやすい。常識的にわかる話です。保護者が教師に対して不信感を持つのは、わが子を大切にしていないと思ったときや、子どもが教師を嫌っていると思ったときである。
 ここに、保護者クレームの未然防止の手筋が見えます。クレームの未然防止には、
(1)
教師が子どもと良好な関係であること。
(2)
日々子どもが確実に成長していること。
(3)
そのために教師が何をしているのか保護者に伝えられること。
が大原則であるということになります。
 子どもができるようになったことや、活躍したことなど、うれしいことは連絡帳を活用し、ご家庭でも子どもをほめてもらうなど、話題にしていただくとよいでしょう。
 保護者からの電話は、教育をよりよくするための情報であると捉えて、感謝の気持ちを持って対応することが何より大切なのです。そうすることが、問題をより早く解決することにつながるのです。
 とにかく、聴く、聴く、聴くことに徹するのです。そして、「私はこのように受けとめましたが、それでいいですか」と要旨を繰り返し確かめる。そうすることにより、保護者は受けとめてもらったと実感するでしょう。内容をよく聴き、確かめたうえで、担任として伝えたい内容を端的に伝えます。話が複雑な場合や、学校として対応しなければならないことは、管理職と相談してから誠実に答えることが大切です。
 保護者からの訴えは、保護者の不安の表れです。「それは、ご不安ですよね。私も心配です」と、保護者の心配や不安な気持ちを受けとめたうえで「一緒に考えていきましょう」と寄り添うようにしましょう。
 教師の側から「今日は、学校で元気に過ごしていました。おうちでは、いかがですか?」「今日は、○○で活躍しましたよ」と保護者に連絡を入れ、保護者が安心できる関わりを継続することが大切です。
 トラブルが多い子どもを担任したとき、保護者と相談することが多くなることが予想されます。まず保護者との信頼関係を築く必要があります。その子ができるようになったことや良さを惜しみなく伝えるようにしましょう。保護者が担任からの電話を楽しみにするくらい信頼関係ができると、いざというときに抵抗を持たず受け入れてくれます。
 保護者の学校に対する要望は、教師と保護者がお互いの立場を理解し、教育をよりよい質にしていくうえで貴重です。
 教師は保護者が「わが子がどのようになってほしいと願っているのか。どのように学校に尽力してほしいと願っているのか」をわかる必要があります。
 学校の教育目標と学校が実際に行っていることを確認し、保護者の理解を得るようにしなければなりません。
 保護者の願いと、学校側のめざす目標とすり合わせ、保護者に担えることをお願いして、保護者を子育ての大切な仲間にするのです。
 
教師に落ち度が考えられないのに保護者からクレームがあった場合、教師は親のことを「わがままな親」「被害者意識が強すぎる親」と思ったりします。教師がつい「あの親は・・・・・」という言葉が出るようになったとき、教師と保護者の関係を悪いものにしていく恐れがあります。
 教師が扱いにくい保護者と受け取ったとき、関わりを避けたくなります。そうすると保護者に「自分を嫌っている」というメッセージを伝えることになります。
 それにしても日本の社会は、大人同士が上手に会話して、人間関係を回復していくための対話が苦手になってきてしまっているように思います。自分の要求を上手に他者に伝えることや、上手に断ることや、相手の要求と、自分の要求との接点を見い出して妥協することや、新たなアイデアを創出することなどが苦手になってきました。
 人間関係を調整するには、対話するとき、まずは、相手の話を「うん」「うん」とうなずきながら聞けばよいというものではありません。話を徹底して聴いて、相手の言葉を繰り返して答えるようにします。
 これは意識して行わないと身につきません。相手の感情を読み取って「○○とお考えなのだとしたら、お腹立ちでしょうね」と、不快な感情面をわかっていると適宜伝えねばなりません。
 そして、事情を本当にわかるためには、起きたことと、そのことへの解釈、評価、考えを分けて理解し、受け答えする必要があります。そのつながりがわからなくなったときには、恐縮しながら質問することも必要になるでしょう。
 このようにして、相手との関係を上手につくった後で、自分の要求と相手の要求との調整に入るのです。
(
早川惠子:都留文科大学講師)

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