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非常識なクレームには、どのように対応すればよいか

 クレーマーに対して、普通の人と考えて対応されていることが多いと思います。しかし、解決が困難なクレームをつける人の中には常識では考えられないような人がいます。病気の人もいます。
 例えば、相手の気持ちがわからず、話が一方的。気分がコロコロ変わり、気に入らないとキレる。極端な考えや行動をとる。幻覚が見えたり、妄想にとらわれることがある。などといった人も考えられます。このような背景があると、特異なクレームになる可能性があります。
 クレーマー対応には「誠心誠意、話せばわかっていただける」と言われています。しかし、クレーム対応をする場合、常識では考えられないような人がいるということを理解しておかないと、悩み苦しみ、心に傷をおい、うつ病などになってしまう可能性があります。
 クレーム対応の最初は、クレームをつける人がどのような人がわかりません。まずは常識的な対応をしてください。
(1)
即時対応で迅速に反応することを心がける。
(2)
クレーマーとアイコンタクトをし、誠実にお詫びをする。ただ「申し訳ございません」という謝りの言葉だけでなく、クレームを言っていただいたことに対して「ご指摘をいただき、ありがとうございます」と、お礼を言う。
 このことにより「あなたを大切にしています」という気持ちを相手に伝えることが重要です。特異なクレームをつける人たちの多くは、自分が認められることを望んでいます。
(3)
気の済むまでお話していただきます。まず、最低3分間は相手の話を聞く。だいたい3分を過ぎれば「怒鳴る」「怒り」は治まってくる。
 最初の3分間を冷静に対応することが重要。こちらの言い分があっても、相手の話をさえぎったり、否定的な言葉を使ったりせず、あいづちを入れながら、一通り話が終わるまで、自尊心を傷つけないように丁寧に聴くことが必要です。礼儀作法も重要になる。
(4)
話を聞きながら、クレームの原因、言い分、相手の態度などから、一般的なクレームをつける人なのか、話してもわからない特異なクレームをつける人なのか、金銭的な要求のある悪質なクレームをつける人なのかをおおよそ判別します。
 特異なクレームをつける人が来た段階で、いきなり記録しようとしてもできるわけではありません。法的対応が必要になる場合もあり、日頃から記録を残すようにしましょう。
 日常生活での会話や電話を録音することに何ら法的問題はありません。録画も学校など管理権が及ぶ場所で面談を録画することも問題はありません。
(5)
苦情内容の確認
 クレーマーが言いたいことを言い終わったら、細かい事情を確認します。感情的になって言いたいことだけを言うことが多いものです。5W1Hについて確認します。それに加えて、クレーマーがどのようなことを要求しているのかも確認します。
(6)
事実確認
 クレーマーが思い込みを理由に苦情を言う可能性もあります。問題の原因の一部がクレーマー側にあっても黙っているということもあります。大事なことは、事実確認をしない限り、次のステップに進めないということです。
 面と向かって言えませんので「上役と対応を協議する」と、ひとまずその場の対話を終わらせてください。
(7)
解決案の提案
 解決案に対してクレーマーが納得しないと困ったことになります。クレーマーの意向にそう形で多少譲歩を示し、それでもまとまらないようであれば、もはやそれは不当要求であると考えざるをえないでしょう。
 話がまとまらず、平行線をたどっているような場合、話し合いを続けるのは精神衛生上、大きな負担になります。対応者が精神疾患を患らう可能性があります。
(8)
弁護士に相談する
 一度、弁護士に相談してください。学校が責任を負わなければならないか、その範囲はどこまでか、クレーマーの要求は不当なものといえるか、ということに関して助言を得られます。
 弁護士と相談した結果、クレーマーの要求が不当であれば、それに応じる必要はないと自信が持てます。クレーマーの要求の一部は相当で、責任をとってもよいのではないか、との意見であれば、今一度、解決策について譲歩できないか検討する必要があります。交渉や譲歩案の助言も得られるでしょう。
 弁護士に相談し、助言を受けるだけであれば、費用も大きな負担とはならないでしょう。少なくとも、クレーム対応に悩み、対応者の健康被害を生じさせるより、相談料を払って助言を得るほうが得策だと思います。
(
柴田豊幸:1951年生まれ、みずほ銀行を経て、チャイルド社(保育関係)社長)

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