ユーモアで子どもたちの笑顔が増え、クラスが変わるには、どう指導すればよいか
朝から放課後まで、ユーモアで子どもたちの笑顔を増やす方法を考えてみます。
1 朝一番は笑い
明るい教室をつくるために、やはり「笑い」のもつ力は大きいものです。特に、朝一番の「笑い」は効きます。
一日を笑ってスタートすると、子どもたちも教師もリラックスして授業に突入できます。思考もポジティブになるので、ちょっとしたトラブルが起こったとしてもイライラせずに事に対処することができます。
朝、教室に入るときは必ず「笑顔」。そして黒板の前に立ったらすぐに「子どもたちと一緒に笑う」こと。この展開ができれば理想です。「笑い」で教室にポジティブな流れをつくり出しましょう。
2 笑いあふれる教室をつくる小ネタ
私が実践して手応えがあった、笑いあふれる教室をつくる小ネタを紹介します。
(1)教師が教室に指から入場
教室のドアに入ると見せかけて、入らない。開いたドアからは、小指、薬指・・・・・ジワリジワリと先生の指が。指でなく顔だけ出してもいいでしょう。もしくは、教室に入るとき、見えない壁にドンとぶつかってみる。壁にぶつかり驚いた顔で「誰か開けて」と叫べば、子どもたちが駆け寄ってきて、笑いの渦に巻き込みます。
(2)スルー&黙礼
授業中、クラスのやんちゃな子どもが発言をしています。調子にのってしゃべっているうちに、わけがわからなくなり、歯止めがきかなくなっている。教師は、じっとその子を見つめて話を聞いています。
そして、その子がしゃべり終えたら、しばし沈黙。「はい、じゃあ教科書、開けて!」と、あえてスルーします。事の成り行きを見守っていた子どもたちは爆笑。
小言や注意など言葉で表すだけでなく、ときには「気づいているよ」という姿勢だけ示して子どもに気づかせることも必要です。
(3)絶句
悪ふざけをしている子どもなどに、とっさに注意したい。でも、言葉で伝えないほうがいいときもあるのです。そんなときこそ「表情」で伝えます。
教師が、あんぐりと口を開けて硬直。視線はその子一点に注ぐ。微動だにしない時間、五秒。
「絶句」もまた、物言わぬ伝え方の一つです。ちなみに、注意したい子どもが歩いて移動したりしている場合には「絶句」して身体は硬直させたまま、顔だけを動かしてその子を追尾しましょう。これが効くのです。
(4)方言で注意する
「鉛筆を削ってない」「ノートの字が雑」など、ちょっとしたことで子どもに注意したい。教室にトゲトゲした空気にはしたくないときは、大真面目に「ユーモア」を放り込みます。
例えば、教師がいきなり方言(津軽弁)で「なんべん言ったらわがるんだ」と話し出します。これは強烈なインパクトです。博多弁や関西弁でもよい。
コツは教室に笑い声が起きたら、教師はその場でパッと切り上げること。
小さなことだけれど、一言きちんと押さえておきたいという場面でこそ、ユーモアを交えてさっぱりと、がいいのです。
(5)ふくれる
教師もふくれてみましょう。気に入らないことがあったとき、教師だってふくれることがあったっていいのです。
おすすめなのは「おしゃべりしている子が気づかないとき」「子どもから忘れ物をしたという報告を受けているとき」「雑に書かれたノート」を凝視しながら、教師がふくれます。
上手なふくれ方は「腕組みをする。子どもに視線を注ぎ」ほっぺたをふくらまします。 いいんです、教師だってときにはふくれてみましょう。見ている子どもは「先生、子どもやなあ」って言ってくれますから。
3 教室ライブ中継
明るい教室をつくるアイテムが「教室ライブ中継」です。必要なのはホワイトボードだけ。私が見つけた子どものいいところ、成長したポイントをライブ中継のように書き出していきます。
休み時間に、そうじ時間に、給食中に・・・・・情報はその都度更新されていきます。ほんの些細なことでもいいところを見つけて書きまくります。もちろん、子どもが友だちのいいことを書いてもいいことにしています。
マイナス要因を減らす努力以上に、プラス要因を増やしていくことをしっかりと意識したい。子どもの成長をしっかりと見て取って、目に見える形で子どもたちの前に出していく。そのための工夫が「教室ライブ中継」です。
4 子どもの楽しみを増やしていく
子どもにとって楽しみを増やしていくようにします。子どもが「楽しくないなあ」「嫌だなあ」と感じる「そうじの時間」「給食当番」などの係の仕事を、子どもが面白いと思えるように「エンターテイメント」にしていくのです。例えば、
(1)そうじの後に各場所の係が報告するとき、あえて関西弁で話させてみる。
(2)給食当番が配膳するとき、レストランのウエイターのように振る舞わせてみる。
5 連絡帳
連絡帳には、その名の通り、次の日に持ってくるものや保護者への伝言など、連絡事項を書かせていることが多いでしょう。
私もふだんは、「し」:宿題、「も」:持ってくる物、「れ」:連絡事項を基本として書かせていますが、ときどき次のようなやりとりもしてみたりします。
私が「が」と板書。子ども:「え?」という空気。私:「がんばったことを書こう」。
「お」:おもしろかったことや、驚いたこと。「ち」:挑戦。明日への挑戦。などなど、突然お題を設定し、その場で書かせていくのです。
何事も、大切なのは予定調和にならないこと。ほんの少しのアドリブで、子どもたちの帰り支度は笑いに包まれます。
(森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)
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