保護者とより良い関係を築き上げるにはどうすればよいか
子どもに問題が起きたときなど、子どもの指導をめぐって、保護者と協力していくには、どのようにすればよいのでしょうか。
「相手に原因がある」「相手の問題点を指摘する」という姿勢があると関係は改善しません。原因の追究を止めます。そして「どうなりたいのか」を考えるのです。この二つの姿勢が、問題を共有し、共有の問題解決の目標をもつことにつながります。
これができさえすれば、人間関係は良い方向に向かい始めます。問題も自然に解決に向かうのです。
(1)保護者に肯定的な関心をはらう
保護者に会ったとき、「このお母さんは困ったものだ」と問題を感じることがあります。保護者が不機嫌な場合もあります。どのような場合でも、一番に心がけたいことは「お母さんなりに、一生懸命なんだなぁ」「どこか、かわいげがあるなぁ」と、その人に好感を抱くことなのです。
このような姿勢でいると、不思議なことに、始めは「困ったなぁ」と思った保護者でも、だんだんとお互いに打ち解けて話をすることができるようになっていきます。
(2)保護者の苦労をねぎらう
保護者と話をしていると、保護者の子どもとの関わり方に問題があるように思われることがあります。最初から「お母さん、○○を直してください」という助言は効果的ではありません。
まず、保護者の苦労を認め、ねぎらうことです。そのことが、子どもの問題に取り組む勇気を保護者に与えることになるのです。問題を抱かえる保護者と協力関係を築く際に大切なことは、保護者の良き理解者、支えになるということです。保護者が安心します。信頼を得るには効果的です。
(3)保護者の話をじょうずに聴く
対面して座ると話をする側も聴く側も緊張します。机をはさんで90度の角度に座るとよい。面と向かい合わないので非常に話しやすい位置になります。
じょうずに話を聴くには「受容する」「共感する」と良いでしょう。話した相手の言葉を繰り返すことで、しっかりと受けとめてもらったと感じます。
繰り返すことで、自分が語った言葉を聞かされると、客観視することにつながり、語っている人に、新たな気づきが生まれることがあります。
(4)保護者の態度や好みに合わせる
気持ちが通い合っている者同士では、同じような姿勢、振る舞いを自然に取ることがあります。実際にしてみると相手の感じている気持ちを感じることができるのです。同じ姿勢、振る舞いをすると、相手の気持ちが自分に伝わりやすくなります。
保護者が大切にしている価値や好みを尊重し、そこに合わせるようにします。
(5)おみやげを与える
保護者の方に来てよかったなという気持ちを持って帰ってもらうことです。おみやげを与えるためには、保護者がこれまで行ってきた中で、良かったことを聞きとめておくとよいでしょう。
一番のおみやげは「それ、とっても良いことなので、ぜひ続けてみてください」なのです。これだけは自信をもって行ってくださいと伝えることです。やれているところをうまく強調しておみやげとして与えることです。
(6)保護者と会うときの心得
母親は、子育てを一手に引き受けている気分でいることが多い。わが子に問題があると子育てを失敗したと感じてしまっていることがあります。温かく接することで、母親の傷つき、苦しみが癒されます。その結果、子どもの問題に取り組む気持ちの余裕が出てくるのです。
父親は総じて、ほめ言葉に弱いところがあります。子どもへのかかわりに関しても、問題を指摘するよりも、良いところを探しほめることで、子どもにかかわる意欲がより強められます。
職業の話題を早い段階でもち出し、職業人として、しっかりやっていることを評価し「わが子のために、ひと肌ぬいで、力をかしてほしい」という気持ちで接すると、話はうまく展開していきやすいようです。
(青山洋子:東京都港区立教育センター教育相談員、筑波大学学校教育部技官を経て、駿河台大学講師。専門は臨床心理学・学校心理学)
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