学級が荒れたとき、子どもたちに授業中、どう対応すればよいか
私たちのサークルにはクラスを荒らしてしまった教師が何人かいます。そのときのサークルメールを紹介しますと、
「反抗的な子に腹も立つでしょうが、がまんがまん。ぐっとこらえてください。授業できるのなら、よしとしましょう」
「先生は、あわてず、おごらず、他の真面目な子を相手に授業しましょう。嫌味なことを言われるでしょう。やる気をなくすようなことも言うでしょう。でも、ぐっとがまんです」「大事なのは、明るく授業しようと努力することです。毅然としなくたっていいのです。大多数の子は先生の味方です。反抗的な子のために先生が元気を無くしてはいけません」
「どんなに反抗したって、憎まれ口を言ったって、あんたたちのために授業するんだから、という気持ちはついか伝わるのです」
「先生に反抗するというのは、子どもにとって決してプラスに働きません。心の中は、後悔といらだたしさでいっぱいだと思います。したくないのに、している子もいるでしょう」
「反抗的な子どもたちにも、あきらめずに先生はやさしく接してあげてください。嫌われていると思い込んでいるのですから」
「意見がたくさん出る、討論する授業をしたい、なんて考えは捨てることです。活気のある授業なんて甘い夢は捨ててしまえばいいのです。授業できるのですから、まだましです」
「今日も一日、何とか持ちこたえた。土曜日まであと何日、なんとか持ちこたえようと私は自分をはげましたね。大丈夫、サークルに来てね、待っているよ」
学級が荒れないための予防線は、なんでしょうか。その原則とは
1 たまには発想を変えてみませんか?
教師がみんなに話をしているときに、しゃべっている子がいました。どうしたらよいでしょうか。例えば「○くん、先生がしゃべりたいんですけど、替わりにこっちへきて、しゃべってくれます?」と、とぼけて聞く。ユーモアで対処するのもよいでしょう。
2 明るい笑顔で教室に入りましょう
たとえ何か注意することがあったとしても、明るくいかなくてはなりません。はじめから注意せず、三つほめて、一つ注意するくらいの気持ちでいきましょう。
3 いちいち口うるさく言うのをやめませんか
ボスもやんちゃの子も、悪いことをしたら、少しは反省しているものです。その行為を叱ったら、さっさと授業を始めて忘れることです。悪ぶった態度まで叱ってはいけません。さっと切り上げることが大事です。
4「うまくいかなくて当たり前」と思ったら気持ちも楽になります
私をからかい、怒らせて面白がる子がいました。そんなときは、むっとしますが、平然とした顔をして無視するのが一番です。こちらが知らん顔だとそれ以上は言えなくなります。
いやがらせを無視して、授業を進めていると「先生って、ちゃんと勉強教えてくれているよな」という空気が教室に流れます。みんなの視線が、いやがらせしている子に「おまえ、なにばかやってんの?」と向けられます。
集団を味方につけるためには、カッとならないこと。平然と授業を進め「そんなこと言ったって、あんたのことはわかっているよ。ちょっとかまってもらいたいだけでしょう」そんな態度で接することです。
5「いつのまにか、先生の言うとおりになっている」という状況をつくりましょう
授業を笑顔で強引に押し進めます。「嫌でもやるんですよ」「大丈夫だから、やるんですよ」「人生長いんだから、嫌なこともやれるようになりましょう」なんて、ひたすら笑顔でかわして、うまく指示します。
子どもたちの文句はひたすら笑顔でかわし、決めるときはびしっと決め、何事もなかったように授業にもっていくたくましさ。子どもたちは「何でこんなことやっているんだろう」と思いながら知らないうちにやってしまう、といったように。あとは、心に余裕と温かさをもって子どもたちに対します。
6 叱ったら、きっぱりさっぱり終わりましょう
「これにて一件落着」「お説教タイムおしまい」「怒ると疲れるねえ。勉強してパワーアップしよう」なんていかがですか。
たとえば「おまえ、豚そっくり」と言って泣かしてしまった、やんちゃくん。自分が悪いと分かっていても、あやまれない。そんなときには
「今はみんなの前だからあやまれないだけ。勉強が終わるころにはきっとあやまれるから待ってあげてね」と言って、楽しい、よくわかる授業をする。
ほめられた、やんちゃくんは気分も直り、あやまるものです。ですから、心して、やんちゃくんをたくさんほめる授業をするのがポイントです。
7 荒れてしまうのもよいではありませんか
授業がうまくいかなかったら、自分を鍛え直すチャンスです。子どもたちは教師に遠慮しません。楽しい授業は楽しいし、つまらなかったらそれまでです。つまらなかったら、すぐ騒ぎだしてくれます。
本物の話であれば子どもたちは聞きます。自分たちのためになる話なら、ちゃんと聞きます。反対にちょっとでもごまかしたり、教師の見栄が入ったり、かっこつけた話だと見破られてしまいます。
毎日が鍛錬です。生活指導なんて役に立ちません。助けてくれるのはよい授業だけです。そう思ったら、荒れてしまうのも悪くないでしょう。
朝、学校に向かうときに「私のクラスの荒れは必ず治ります。クラスが荒れたのは私に必要だったのだ。必然の結果なのです」と自分に何度もなんども言い聞かせました。
帰りは「私は負けないよ。くそっ」と。ストレスでつぶれないように、一人になったら言いたいことを叫びましょう。
(岡 惠子:神奈川県公立小学校教師。TOSS相模原)
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