保護者からのクレームに対応するときに若い教師が心がけてほしいこと
保護者からのクレームがあれば「相手の意図することは何か」について、何度も話し合うことが必要である。その上で学校として「出来ること」「出来ないこと」を保護者が理解するように努力する心がけが大切である。
なぜなら、その話し合いの中から解決の糸口が見つかるケースが多いからだ。また、学校内での体制として、ふだんからケースごとの危機管理対策を話し合い、教師相互の共通理解をはかることも大切だ。
特に若い教師に心がけて欲しいのは「教師は、保護者、子ども、地域から常に教えられ、共に成長していくのだ」ということ。これは優秀なベテラン教師がよく口に言葉だ。つまり、周囲の人々が自分を共に支えてくれることに感謝する気持ちを持ってほしい。
こういう意識を持っていることが後の教師人生を左右する。優秀なベテラン教師は常に謙虚だ。このような教師の授業を見学すると、子どもがいきいきしているのがわかる。
また、自分が未熟で授業がうまくいかなかったり、生徒指導が思うようにいかない事など悩むのは当然だ。悩みながら成長していく過程のトレーニングだと思えばよい。引っ込んでいてはダメだ。
同僚や子どもたちと、よく話をすることが大切であり「習うより、慣れろ」の心がけが必要である。そのうえで切磋琢磨でき、お互いを高め合うライバルを見つけてほしい。
保護者や地域との関わり合いは、第一印象が大切であり、そのためには礼を尽くすことが重要である。「礼に始まり、礼に終わる」と日本武道やスポーツ一般は、相手を思いやる気持ちを心がけているが、クレーム対応でも礼節をわきまえ、最後に握手ができるような関係性を構築してほしい。
保護者からのクレームは保護者に鍛えられていると考えればよい。若い教師は揉まれながら大きくなっていくものなので、時間を惜しまずチャレンジして欲しい。
そして、人を思いやる基本は人権意識を持つことである。「子どもを物のように見ていないか」「人を無視していないか」など、常に自分に問いかけながら教師人生を歩んでほしい。人を大事にして欲しい。
(澤海富保:東京都公立高等学校退職校長会 事務局長)
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