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いじめ問題に学校や担任として、どう取り組めばよいか

 いじめ問題は一つの学級だけで解決できないような例が多くなっています。社会の矛盾が子どもたちの深層におよび、慢性的ないじめとしてひろがっているからです。
 したがって教師は自分の努力は当然としても、自分だけで何とかしようとせず、学年・全校で取り組む課題としてとらえていく必要があります。
 学級でまず重要なのは、早く気づくこと。学級全体の子どもの意識を「いじめは絶対にいけないのだ」という方向へ導いていくことです。
 子どもと遊んだり、班会議に入って対話したり、班長会議で話し合ったりしていれば、たいがい「いじめ」に気づくことができるのです。一言でいえば、子どもたちに「安心」を与え、信頼できる関係をつくっていれば、事前に気づくことができるということです。
 班長会議で「いじめがあるらしい。どうしたらよいか、みんなで考えたい」と教師が問題提起をするとよい。このとき「誰がやったのか」と加害者を探すような言い方はつつしまなければなりません。
 あくまで「どうしたらよいか、いっしょに考えたい」と、みんなで解決策を話し合うようにするのです。そうしないと、班長たちは尻ごみし、固く口を閉ざしてしまいます。
 また、教師はすぐ班長の意見を求めるのではなくて、自分の思いを話す。いじめ事件の深刻さ、いじめられる者の苦悩、そして「いじめる子どもには、必ず人に言えない淋しさ、心の不満があると思う。そのこともふくめて解決したい」と話すことです。
 班長会で、いじめた子、いじめられた子がわかれば対応策を話し合う。事実がつかめなかったら「学級の、みんなで話し合ってみよう」と、班長会の合意をつくりだす。これが、いじめ問題に取り組む土台づくりなのです。
 学級会で話し合うときは、班長会のようすを話す必要があります。そして「絶対に、いじめのない学級にしよう。今までに、いじめた子・いじめられた子もふくめて、今日からみんなでいじめのない学級にしよう」と話しかける。
 そのうえで、子どもたちの意見を聞く。また、いじめ調査用紙を用意し、子どもの意識が真剣になったら、「これは、いじめのない学級をつくる手がかりにするものです」と言って、この紙を一人ひとりに渡して書いてもらうようにします。
 この用紙でいじめがわかったら、個別に指導します。いじめた子には自主的にあやまるよううながす。いじめられた子には「黙ってないで、みんなに話します」と決意を話すよううながす。他の子たちには「よせよ」「やめろよ」と声をかけるよう訴える。
 また事実がはっきりしなかったら、みんなの意識を高めることに努めます。
 いじめた事実がはっきりしても、事実を否定してあやまろうとしない子がいます。そうした子は、心に深い傷を負っている場合があります。認めさせ、あやまらせることに固執すると、よけいかたくなになってしまう。
 時間をかけて癒してやることが大切なのです。家族、教師、子ども同士の支えがおよべば、必ず信頼が生まれます。そのとき、事実を認め、あやまるようになると思います。そのような見通しで、その子を見守ってやることが大事です。
 もし、いじめられた子どもに弱さ、動作のにぶさ、表情の暗さなどがあったとしたら、これからの支援や激励で克服するようにします。それが教師の課題になるということです。
いじめへの緊急の対応のしかたは
(1)
いじめのあることがわかったら、保護者とも協力して被害者の子どもを守る手だてをとる。これが先決。
(2)
校内対策委員や学年会で話し合って取り組み方を考える。
(3)
事実を確かめるために学級・学年・全校でアンケート調査をする。すぐに犯人さがしをすることはいけない。被害の子どもや申告者が「チクった」と攻撃される場合が多いためです。
(4)
調査で、いじめがわかったら
 1
調査事実にもとづいて個別指導をする。そして反省・謝罪させる。
 2
各学級で「いじめの残酷さ、人権侵害であることを」話し合いをする。
(5)
各学級の話し合いの結果を学年集会などで発表し、いじめ克服の決議をする。
(6)
被害の子どもを励ましつつ、自立の課題に取り組ませる。
(7)
加害の子どもも悪者扱いをせず、再生の努力をさせる。
(8)
状況をそのつど被害の子どもの保護者に報告し、共同でできることをすすめる。加害の子どもについても、同じように取り組む。
(9)
学級懇談会や、必要に応じPTA全体会も行う。事実と取り組みを報告し、全ての保護者にいじめ克服のための協力をお願いする。
(
坂本光男:19292010年、埼玉県生まれ、元小学校・中学校・高校の教師。教育評論家。日本生活指導研究所所長・全国生活指導研究協議会会員)

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