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子どもたちが求める教師のタイプとはなにか、そうなるには教師はどうすればよいか  

 教師には大きく分けてつぎの4つのタイプがあります。
(1)
父性と母性が共存している教師(2割)
 厳しく接したり、グイグイ引っ張ったりすることもできるし、逆に優しく包み込むこともできる教師です。
 ふだんは「このクラスは、こんな学級をめざすぞ!」と子どもたちを引っ張る。一方で、子どもたちが悩んだり、ぐずったりしたら、彼らの声に対して耳を傾ける。
 子どもたちをグイグイ引っ張る「リーダーシップ」と、いたわったり悩みを聞いたりする「カウンセリングマインド」。この両方ができる先生が一番良いわけです。
 この担任のクラスは、落ち着きがあって、しかも、一人ひとりの子どもがいきいきとしています。なぜならば、担任がつねに、一人ひとりの子どもに関心を向けているし、同時に、規範をもって子どもたちを導くので、集団の団結力もでてきます。
 子どもたちは頼りがい(リーダーシップ)とあたたかさ(カウンセリングマインド)を兼ね備えた教師を求めています。
(2)
リーダシップのみの教師
 厳しさはあるけど、優しさのない教師。子どもに対しては常に厳しく接する。些細なことでも「何やってんだ、お前は!」と大声で叱責し、クラスがシーンとなる。けれども、子どもの気持ちはわかっていないし、楽しさもない。だから子どもたちはストレスが溜まりやすいのです。
 その教師がいるときクラスは静かです。けれど、子どもたちはストレスが溜まっているから、他の教師の授業では荒れてしまう。
 クラス替えなどで、その教師から離れると、子どもたちの一部が急に荒れ始める。でも、この教師は「オレが受け持っていたときは静かだった」と、自分に原因があるのにもかかわらず、平然と言う。
(3)
カウンセリングマインドのみの教師
 子どもに優しく接することができ、遊び心もあるが、ビシッとすることができない。若い教師に多く見られるタイプです。
 彼らは子どものご機嫌取りに走ってしまう。ルールをしっかり守らせない。目標を明確にしない。友だちのような教師になってしまう。教師と遊びたい子は、このタイプの教師が好きですが、楽しいけれど、まとまりがない。ザワザワといつもうるさい。
(4)
リーダーシップもカウンセリングマインドもない教師(1割)
 やる気があるのか、ないのかわからない。子どもたちにビシッと接することもできないし、優しい言葉をかけることもない。子どもたちから端的に嫌われるタイプです。このタイプの教師が担任をすると学級崩壊しやすい。
(5)
中学校の生徒
 子どもたちは、頼りがい(リーダーシップ)と、あたたかさ(カウンセリングマインド)を兼ね備えた教師を求めています。
 中学生は教師に「正しい大人」を求めています。正義感がある教師、信頼できる教師の人気が高い。チャラチャラしている教師は嫌われます。
(6)
高校の生徒
 高校生になると、「正しさ」は以前ほどこだわらず、勉強をきちんと教えてくれる教師を好むようになります。悩みなどをちゃんと聞いてくれるうえに、勉強の教え方が上手な教師に生徒はついていきます。
(7)
一番嫌われる教師
 気分次第で叱る教師です。感情をあらわにし、すぐカーッとなって叱り飛ばす。感情で動く教師は毛嫌いされる。ほめた場合も同様です。
 冷静にきちんと説得してもらえたら、子どもたちも納得できるのですが「先生、今日は機嫌が悪いな」としか伝わらない。
 子どもの立場から言うと、叱るなら叱るで、どういう理由で叱っているのか、きちんと教えて欲しいということです。
 以上のように教師にはいろんなタイプの教師がいます。どうすればよいのでしょうか。
 人間として、自己成長するうえで重要なのは、その人の個性、自分らしさを発揮していくことです。
 コツコツ教材研究をする教師は、それがその教師の取り柄なのです。それを「まじめすぎるからダメなんだ。もっと遊びを覚えなさい」と管理職が言ってはいけません。それはその教師の本質(個性)を否定することになるからです。自分の本質を見失っては、けっしてよい教師にはなれません。
 自分の取り柄がコツコツまじめにやることしかないのだとすれば、それを最大限に生かして、「コツコツまじめに」お笑いの研究やネタの分析をすればいいのです。それで子どもたちの笑いを取れば大成功です。
 自分の魂の本質を否定しない形で、個性を生かしながら、それをどう生かしていくかと考えて自己成長していってほしいのです。
 自分の魂の本質とは何か。それを探るもう一つのポイントは、子どものころに熱中していたことを思い出すことです。そこにあなたの魂の本質が現れます。
 小さいころから友だちに何かを教えることが好きだったかもしれません。この人は授業が好きなのです。
 教師としての持ち味には、生まれつきの個性が大きく影響しています。変えようとしても変わるものではありません。それを否定せずに、うまく生かす形で教師として成長していってほしいものです。
 もう一つ大切なのは、教師人生の中で起きるさまざまな出来事から、日々学んでいくことです。人生のすべての出来事は、気づきと学び、自己成長のチャンスである。・・・・こんなふうに考えてください。
(
諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、明治大学教授。カウンセリング心理学、心理療法、臨床心理学、学校カウンセリング、教師のサポート、日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会常任理事、悩める教師を支える会代表)

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