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保護者とトラブルがあったとき、敵対しないためにはどうすればよいか

 トラブルがあったとき「相手のせいでそうなった」と責めると、敵対関係になり、問題は悪化の一途をたどります。相手の原因や問題を指摘する姿勢がある限り、関係は改善しません。
 対人関係でトラブルが起きたときに、どちらが正しいのかを争うのは、得策ではありません。どうすればよいのでしょうか。
 対人関係が悪化したら、学校で第三者を確保し、チームで事に臨むようにします。第三者は問題を客観視でき、当事者が何を願っているのかを把握しやすいのです。
 対人関係上の問題が生じた場合、まずは、当事者が何を願っているのかを把握することが基本になります。願いを探し、そこに働きかけることが問題解決への道なのです。
 保護者は目の前の教師が「私の味方になる人なのか」を探っているのです。そのため、教師は意識して保護者の心情に寄り添わなければならないでしょう。
 保護者の願いを感じ取るようにします。「○○してほしいんですね」「ということで、腹立たしく感じるわけでいね」と、願いに意識を集中し、理解した部分を言葉にします。あわせて、保護者の苦労、努力をねぎらうようにします。
 人間関係上の問題の解決のためには、まず、原因の追究を止めます。そして「どうなりたいのか」を考えるのです。
 相手の願いを読み取り、見解が一致する点を探し、その一致点に立つのです。その願いを実現するために、具体的な解決策を探すのです。それ以外に道はないのです。
 問題を共有し、問題解決の目標をもつことが基本中の基本です。
 お子さんに「幸せになってもらいたい」「辛い思いから解放されるように手伝いたい」「今よりも快適な生活を送れるようにしたい」と、共有できる目標のレベルを広げれば、保護者は異を唱えにくいはずです。
 共通の願いに立っていることを確認し、学校側の願いと保護者側の願いの一致点を、納得のできるレベルまで、目標を広げ共有しようとします。
 一度広い視点に立って、大前提を共有します。この作業が、仕切り直しになります。どの目標なら、子どものために一緒に歩むことができるのか、より小さな目標で共有できるところを探します。
 これができれば、もはや敵対関係ではなくなり、人間関係は良い方向に向かい始めます。問題も自然に解決に向かうのです。
 目標が定まったら、チームで問題解決のために「どうしていけばよいのか」具体的にアイデアを出します。解決策のアイデアは多ければ多いほど良いのです。数多くでれば、解決策の選択肢の幅が広がるからです。
 アイデアを多く出すためにも、問題解決を手伝う関係者は、多いにこしたことはありません。どれほど平凡でも、それがあることで、他のアイデアと比較できます。よりよいアイデアが際立ちます。
 問題解決をチームでかかわると、当事者が孤立しないで済みます。アイデアが数多く出て、様々な解決策を同時にしなければならない場合もあります。そのときも、チームで役割分担を定めれば、問題の当事者の負担は、さらに軽くなるでしょう。
 目標を定めたのも、保護者との共同作業だったので、目標に近づく成果が出れば、保護者の手柄にします。
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小林正幸:1957年群馬県生まれ、東京都港区教育センター教育相談員、東京都立教育研究所相談部研究主事等を経て東京学芸大学教授。不登校を始め学校不適応、ソーシャルスキル教育、教育相談、教育技術を研究)

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