保護者からの苦情の電話が鳴り止まないとき、どのようにすればよいのでしょうか
保護者から学校への苦情は増え続けている。学校と保護者のコミュニケーション不足で悪循環に陥っているケースが多い。
保護者からの苦情を処理するだけでは、苦情は減らない。対応する教師は疲労し、子どもに注ぐエネルギーが奪われる。子どもたちに目が行き届かず、子どもが荒れてゆくおそれがある。
保護者からの苦情対応に追われる状態を解決して、保護者との信頼関係を回復しなければならない。保護者からの苦情の電話に困っている場合は、どうすばよいでしょうか。
保護者からの苦情の電話が朝から夜遅くまで鳴り止まないようなときは、学校の保護者会で「大事なお話は電話ではなく、ちゃんと会ったうえでお話しをします」と確認し、保護者間での約束事にするとよい。
そして、学校と保護者との話し合いの場を定期的に設ける。その代わり、電話だけの苦情は受け付けないようにする。もし電話での苦情があったときは「話し合いの場でお聞きし、お答えします」と伝える。
もし電話が終わらない場合は「これ以上お話ししていると、授業に支障が出ます」と言って切って長引かせない。大事だからこそ直接会って話したいと、対話を求めてゆくのだ。
一時的に苦情は悪化するかもしれないが、必ず収束する。この実践の成果や失敗などを確認し修正点を検討するための会議を週に2回、30分、持つようにした。
実際に保護者対応で困っているいくつかの学校で実践してもらい、成果も出ている。
対話のないところで、不満を言いだすと、あっという間に関係性は悪化してしまう。一方的な要求とか文句が、子どもたちにとってよい結果をもたらすことは、まずない。
「子どものため」にできることは、要求ではなく、話し合い、互いに協力することだ。
これは、学校と保護者が、サービスの供給者と消費者のような取り違えた関係にならないための一つの方法である。
(山脇由貴子:1969年東京生まれ。東京都児童相談所児童心理司。年間100家族以上の相談や治療を受け持つ臨床家。臨床現場の生の声を発信し続ける)
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