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保護者の協力を得るには、教師はどのように態度を変え、つきあえばよいか

 教育は保護者とともに進める仕事である。両者が手をとりあって、仲よく教育しなければ、子どもの発達は保障されない。教師と保護者は「共育」のパートナーなのである。
 しかし、「共育」はそう簡単にできなくなった。教師と保護者との関係は最悪の状態にあるからだ。保護者の教師不信は70%に達している。原因は保護者の学校観、教師観の変化に対して、学校や教師が十分に対応していないことも原因のひとつである。
 こうしたなかで、教師は、どのように保護者と連携するか、その知恵が問われている。
 教師は、保護者のことを「親のありかたを棚あげにして、子育てがうまくいかないのはすべて学校・教師の責任だとする親」 「身勝手な親」「非常識な親」「わが子を正しくとらえられない親」などが増えてきた、といった言い分はあろう。
 しかし、声高に保護者を追及したところで、教師不信に輪をかけこそすれ、事態を変えることにならない。まずは、教師の保護者に対する次のような態度を改めることから出発したい。
(1)
専門家的態度
 教師は教育の専門家だから、素人の保護者はよけいな口だしをするな。教師にまかせておけといった態度。
(2)
啓蒙的態度
 一段高いところから、教えてやるのだといった態度。
(3)
事務的態度
 木で鼻をくくったような、誠意や愛情のない、冷ややかな対応。
(4)
権威的態度
 いばった態度。問題行動があれば、保護者を学校に呼びつけ、頭ごなしに親の責任を追及する態度。
(5)
独善的態度
 保護者は学校に協力するのはあたりまえだとする態度。原因は保護者のせいだとすることから生まれるのだろう。
(6)
脅迫的態度
 学校の方針や教師のいうとおりにしないと成績や内申書にも影響して、子どもの進路や指導に責任はもてない。どうなっても知らないぞ、といった態度。
 
「保護者は苦手」という教師が多い。教師が保護者を敬遠していたら、両者の関係改善は遠のくばかりである。そこで、次のようにつきあってみたらどうだろうか。
(1)
保護者と会う回数を増やすようにする
 保護者の本音は、教師と仲よくしたいのである。その願いにこたえるには、教師と保護者がしばしば顔をあわせて、人間的な接触を深めることである。
 教師も保護者も、共に交わる能力が衰えてきているから、会う回数でこなしていかなければ、相互理解は深まらない。学級通信だけ配布していれば、保護者との協力関係が進むというものではない。しばしば顔をあわせていくと、両者をへだてる垣根も除かれていく。
(2)
保護者と率直に接するようにする
 若い教師のなかには、保護者の前に出ると「つっこまれないようにしよう」「親が感心することを言おう」「ボロを出さないようにしよう」「バカにされないようにしよう」と、そんなことばかり気にしていることが多い。
 そうではなく、もっと率直に接することである。
(3)
教師くささを捨てる
 ごく普通の社交的儀礼にのっとって、交際しようとすればいいのである。世間知らずの教師では、いまどきの保護者と楽しく談笑できないだろう。
(4)
教師の接し方で保護者の態度は変わる
 教師は保護者に子どもの悪口はいわない。保護者は教師からの、子どもの非難にうんざりしているのである。
 教師が保護者に話をするときは、子どものなかにあるよい面(考えや行為など)を知らせるようにする。
 そうした、子どものとらえかた(人間観、教育観)が保護者を変え、教師への信頼を回復させるのである。
(5)
保護者といっしょに考えていく
 教師が子どもの指導で困っていることは、じつは、保護者も困っていることが多いのである。だから、保護者の責任を追及してもはじまらない。
 保護者といっしょに研究しながら「どうしたら子どもがよくなるか」をさぐることである。
 こうやって、つきあっていくうち、お互いの気心も知れて、保護者の教師への不信感もうすらぎ「教師に隠しておきたかったこと」も「先生だけは話しておく」というようになるのではないか。
 そして、何よりも、教師の指導が成立する条件が整うことになる。保護者が「いい先生だ」といえば、子どもも「いい先生だ」となりやすいのである。
(
家本芳郎:19302006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)

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