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保護者の要求が無理難題へとエスカレートしないようにするには、どうすればよいか

 無理難題を言う親は、そこに至るにはプロセスがあって、突然そうなるわけではありません。始めは要求が苦情になり、攻撃的になって無理難題へとエスカレートしていくという経過をたどることが多いのです。
 保護者がどういう理由で不信を蓄積させてきたか「見立て」ができると、合理的な対応方法を考えることが可能になります。早期に「見立て」を行う意識が大切です。問題の背景、原因、プロセスを見立てる「前さばき」が本当に重要なのです。
 怒りや攻撃性に振り回されることなく、その背景・原因に何があるのか、保護者の本当のニーズは何なのか「見立てた」うえで、学校として「何をすべきで、何ができるのか、何ができないのか」などの判断基準をしっかりもって、対応プランを考えていく必要があります。
 その判断基準となるのは「子どもの最善の利益の実現」「子どもの成長発達の保障」「子どもが安定して学校にくることができる環境を確保する」という視点です。
 保護者から出てくる要求は、いくつかのパターンがあります。学校の非を突いてきて「謝罪要求、土下座しろ、事実確認の書面を出せ、念書を出せ、担任交代、加害者を転校させろ、クラス替えをしろ、教育委員会に訴える」などがあります。
 判断基準をもとに「必要なこと」「できること、できないこと」「応ずるべきでないこと」をきちんと見極めて対応することが大切です。
 無理な要求については、早い段階から「不可能である」と明確に回答する必要があります。その場しのぎにすると、問題は必ずエスカレートしていきます。
 暴力的な雰囲気で脅し的な要求は合理的なものであっても応じてはいけません。金銭要求についても、スポーツ振興センターの給付以外は不可能です。
 保護者対応は、表面的な怒りや攻撃、拒否的な姿勢などに振り回されることなく、その背景や原因の見立てを行い「保護者とつながって」いく取り組みが必要となります。そのうえで、無理なことは無理だと伝え、学校がしっかりとしたスタンスで対応プランを提示していくことが求められます。
 しかし、現実には学校が、子どもや保護者の見立てのスキルを十分にもてていないために、表面的に振り回されてしまい、いたずらに感情的になったり、ノーと言えず無理な要求を受け入れてしまうなど、大切な初期対応を誤ったり、悪循環に陥ることが少なくありません。
 また、個々の教師の抱かえ込みも生じやすく、つい防衛的・自己弁護的になってしまい、子どもの最善の利益のための、是々非々のスタンスをとりきれず、それによって問題がエスカレートしてしまうことも珍しくありません。
 保護者問題の解決の筋道を計画する力が、以前よりも増して求められています。そのためには、学校がチームとして対応できることと、それをサポートする教育委員会のサポート体制(弁護士、臨床心理士などをふくむ)が必要となります。
 学校における保護者対応は、一般社会の消費者のクレーム対応とは異なり、保護者と継続的な信頼関係を維持しながら「子どもの最善の利益の実現」「子どもが元気に登校できる環境を回復する」ためのサポートを目的とするものでなければなりません。
 最終的には、学校と保護者、子どもとの関係の中でしか解決できないものです。
(
峯本耕治:大阪弁護士会弁護士。大阪府教育委員会スクールロイヤー事業スーパーバイザー、NPO法人TPC(教師・親・子どものための)教育サポートセンター代表)

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