学級崩壊から生還した教師たちはどのようにして解決したのか
子どもが荒れる一番の原因は授業であり学級崩壊は授業崩壊から始まる。また、荒れから生還する唯一の道も授業である、授業の再生が学級を再生することを肝にめいじて授業をしなければならない。授業がしっかりしていけば、学級経営もしっかりしていく。
教師が勉強し、授業を変えていくことこそが、学級を良くしていく最善の方法である。授業がへたな教師は、教師優先の我流の授業スタイルが多い。教師が変わらなければ、子どもも変わらないし学級崩壊は解決しない。
学級崩壊の大半の責任は教師にあると素直に認めることである。授業がへたでつまらなかったことであり、その点を反省することである。これまでの我流をすべてすてて、素直に多くの教師の実践の成果に学ぶことである。
つまり、これまでの自分を否定し、新しい出発をする決意をすることである。そうすれば、未来は明るい。教師が変わり、授業が変わり、子どもが変わるのである。
「子どもの事実」こそが大切なのだ。「子どもの事実」が評価する唯一の基準だ。ごまかしがきかない。なぜ、失敗するのか。それは自分のやり方が未熟だからだ。自分の未熟さに目を向け、それを克服していくため日々、挑戦し続けなければならない。たとえ「ほんのちょっとの、子どもの変化」を生み出すにも、山のような反省と自己変革が必要だ。
そして、つかんだ子どもの変化は、ずしーんと腹の底まで響く手応えがある。これこそが実践であり、教師の仕事なのだ。どれだけ困難な子どもでも、その可能性を伸ばすことに挑戦するのが教師の仕事だ。
学級崩壊で大切なのは、学級崩壊から生還した事実なのである。悩んでいる多くの教師の福音になる。子どもや保護者は救われるだろう。学級崩壊から生還した教師たちが体験したことをみていくと、つぎのようなことがいえる。
(1)現場で悩んだとき「どうしたらいいか」を研究会やサークルに参加して具体的に教えてもらう。子どもたちへの指示・発問のやり方や、楽しい授業、知的な授業など多くの情報に出あえることができる。
(2)学級経営や授業について優れた本を読み、追試(すでに行われた研究成果をその通りに行って試すこと)し、優れた学級経営や授業を積み重ねる。そのとき、優れた実践の裏にある考え方を知ることが大切である。
(3)学級を統率するのは自分だという、気概、気迫、責任感を持つ。
(4)教師は時として「ダメなことはダメ」と毅然とした態度をとらなくてはいけない。
(5)新年度、最初の「黄金の三日間」を大切にする。
(6)一人では立ち直ることはできない。よき相談相手、理解者が必要である。
(7)保護者との連絡(家庭訪問、学級通信など)を密にしてコミュニケーションをはかり、理解を得るようにする。
(8)子どもたちへの見かたを変える。子どもを叱ることで動かすのではなく、子どもたちの良いところを見つけ、ほめる。楽しいゲームや遊びなどもふくめ、一人ひとりの子どもとの関係改善をはかる。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)
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