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子どもたちに「わかりやすい説明」をするためのポイントとはなにか

 NHKの子どもニュースを担当して、子どもたちに「わかりやすい説明」をするには、いくつかのポイントがあると考えるようになりました。
 
「こんな言い方をして、子どもたちにわかってもらえるのか?」「ひょっとすると、子どもたちは知らないのではないか」と、常に自問自答して、子どもたちへの想像力を持っていないと「わかりやすい説明ができないのだ」ということを思い知ったのです。
 出演者の子どもたちが「わからない」と言ってくれるとき「そんなことも、わからないのか」と言ってはなりません。「何がわからないか」がわかると、そのニュースの説明は八割方はできたようなものです。
 その点について「では、どう言えばわかってもらえるだろうか」と一生懸命に研究すればいいからです。
「うーん、これだったら、わかるかな?」「それでもわからない?」「では、これで、どうだ」「えっ、わかる? ありがという」「わからないと言ってくれたおかげで、こんなにわかりやすくなった、ありがとう」と、常に言うように心がけました。
「きみが、わからないと言ってくれたおかけで、わかりやすくなった」という言い方を繰り返すことで、子どもたちにも番組つくりに参加している実感がわきます。
 こうした経験の結果、私なりに「わかりやすい説明」の方法を編み出していきました。そのポイントを五つにまとめると、
(1)
むずかしい言葉をわかりやすく、かみ砕く
 ニュースにはむずかしい言葉が数多く登場します。意味のわからない言葉が出ると、そこから先は理解が進まなくなります。わかりやすく説明することができれば、見ている子どもたちは「ああ、そういうことなんだ」と腑に落ちることでしょう。
 むずかしい言葉の多くは、漢字の熟語です。その漢字の意味をおさらいするだけで、むずかしい用語の説明ができ、ニュースのポイントも理解できることが多いのです。
(2)
身近な「たとえ」に置き換える
 想像しにくかったりして理解しにくいテーマのとき、わかりやすい「たとえ」を使うと効果的です。
 例えば、H2ロケットの大きさの説明です。高さは50mです。私が思いついたのが「奈良の大仏」でした。高さが16mです。でも、私たちは大仏さまを足元から見上げるので高いというイメージを持っています。
 こうして、H2ロケットの横に大仏さまの模型を並べ「ほら、H2ロケットは、奈良の大仏さまの三倍もの高さがあるんだ」という説明になりました。
(3)
抽象的な概念を図式化する
 抽象的な概念のニュースは映像がなく「見てわかる」ことはできない。図や模型にすれば「見てわかる」ということになります。
 ある概念を子どもたちに伝えようとするとき「絵」として伝えることができないか、と考えます。ある出来事を自分の頭の中でそしゃくして、図解してみます。
 図解しようと努力すると、ものごとの枝葉の部分がそぎ落とされ、本質だけが見えてくることがあるものです。
 自分の頭の中に、その「絵」を描くことができれば、次は、その「絵」を言葉にして子どもたちに届け、子どもたちの頭の中に、その「絵」を再現してもらうのです。
(4)
「分ける」ことは「分かる」ことに
 わかりやすく伝えるためには、伝える内容をきちんと分けてみることです。雑多な情報の中から必要な要素を取り出し、その要素を的確に分け、適切な順番に並べて伝えることが「分かる」ことになります。
 必要な要素を分けて再構成して見せることで、子どもたちの頭の中が整理でき、理解しやすくなるのです。
(5)
バラバラの知識をつなぎ合わせる
 バラバラの知識に「関係性」があることを示すことです。
 ある出来事について、ひとつひとつの言葉や数字を説明するだけでは、本当にわかったとは言えないこともあるのです。
 自分が持っている断片的な知識をつなぎ合わせ、ジグソーパズルのようにはめ込みながら、全体像が作りあげられたとき「わかる」ということになるのです。
 
「わかった!」というのは、知識を得たのではなく、自分の持っている知識によって、ある状況が解釈できたという場合である。頭の中でひとつの「絵」にまとまったときです。
 それと、ただ、ひたすら淡々と説明するのではなく「間」やリズムを大切にして、子どもたちとの会話のキャッチボールができるように留意すると、会話ははずむのです。
(
池上 彰:1950年長野県生まれ、ジャーナリスト。NHKに記者、キャスター、東京工業大学、信州大学、名城大学などの教授歴任した)


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