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笑いが出る楽しい授業をするには、どうすればよいでしょうか

 有田正和は講演会の冒頭でよく「1時間の授業で、一度も笑いのない授業をした教師は、授業終了後、ただちに逮捕する」と、よく言っていた。
 有田は、ユーモアというのは「対応の技術」だと考えている。「子どもが何かいったとき、かんはつを入れず面白い対応ができること、これが本当のユーモアではないだろうか」と述べている。
 有田自体、ユーモア小話だけで本を何冊も書けるほど面白いネタをいくつも持っている楽しい人なのだが、決して自分が主役になろうとはしない。授業における「笑い」の主役は、あくまでも子どもである。
 有田の有名な実践であるバスの運転手の授業記録の一部を紹介する。
教師「バスにはタイヤが何個ついていますか」という発問の後の授業の様子である。(「社会科発問の定石化」明治図書・8182ページ)
子どもA:「前に1個に、うしろに2個」
教師(有田):「Bくん、起立。これはどちらが正しいですか?」
子どもB:「8個」
子どもC:「それじゃスピードが遅くなるんだよ」
子どもB:「6個だ、6個。えーっ、待って。だって、後ろに4つに、前に2個だもん」
教師(有田):「うそばっかり」
 授業の核となるBくんに話をふり、さらに「うそばっかり」と挑発する。この一言でBくんはヒートアップ、他の子どもたちからは笑い声、参観者は大爆笑となったであろう。
 この場面、シンプルにまとめると「ある子にネタをふって、その発言につっこむ」ということになる。
 まず、話を誰にふるかがポイントになる。有田氏は、ここで、話を盛り上げてくれそうな発言をするBくんを指名している。
 しかも、このBくんは、けっこう打たれ強い。だからこそ「うそばっかり」というようなツッコミができる。
 これは、クラスの子どもたち一人ひとりのことをしっかり把握しているからこそ、できることである。
 
「対応力」を磨くことは、一朝一夕で身につくものではないが「あの子は発想が面白い」とか「打たれ強い」など、クラスの子どもたちのことを理解することは、やる気さえあれば、ある程度はクリアできる。
 そして、その上で 「教師は笑顔で授業を行う」
 気の利いたツッコミはできなくても、笑顔で子どもたちの言動に対応することは、意識さえすれば誰にでもできるはずである。
 教師の笑顔は、子どもたちも笑顔にする。「授業は楽しいものだよ」ということを教師は表情でしめさなくてはならない。スマイルは教師の義務だと有田は考えている。
 これは技というより、人間性といった方がよいだろう。ネクラからネアカな人間になる。これも教師の義務であると考えている。せめて子どもの前だけでも教師はスマイルを絶やさないようにしたいものである。
 有田が見た名人や有能な教師はみんな笑顔がすてきである。スマイルのある教師の授業は、やわらかく、暖かく、子どもたちものびのびと学習している。
 授業は子どもがわからない状態から、わかるようにすることです。私は授業をするとき「今日、子どもと何で勝負しようか」と考える。おもしろい授業をするには、「何で勝負するか」ということを、第一に考えよう。
 有田の場合は、一人か二人の子どもをターゲットにして、その子をこの一時間で
「学習意欲を引き出す。学び方を教える。見えない(わからない)ものを見える(わかる)ようにする」
ことを、どうやって引き出していくかを考える。
 ですから、授業を考える時に、まず、子どものイメージをつかんで、見えないものを見えるようにする。そのプロセスで学び方をつけ、学習意欲を引き出していくわけです。やっぱり子どもたちをベースにして、教材はあくまでも手段です。目的ではありません。
 楽しい授業の一番大事なのは、厳選された教材で学び方を育てる。しかも、子どもたちがとことん追求するような、意欲を引き出す。
 そうするには、やっぱり子どもたちが追及する材料を、子どもたちを予想して、これなら追究するだろうというような面白い材料を準備するということが必要ではないかと思います。
 「笑いを持ち込むと教室の空気がゆるんでしまう」「笑わせたら子どもになめられる」と、笑いを敬遠する教師も少なくありません。ユーモラスな話をすれば、子どもは身を乗り出して聞くはずです。子どもたちに集中力や注意力、学ぼうというエネルギーがうまれるのです。
 むろん、いつまでも笑わせていてはダメでで、次の瞬間には、そのエネルギーを学ぶほうへと仕向けていく必要があります
(
有田和正:19352014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)

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