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ゴミを平気で捨てたり、掃除をサボる生徒をどう指導すればよいか

 私は仕事上、荒れている学級をずいぶんと見聞してきた。荒れていると、教室内はもちろん廊下もトイレも例外なく汚い。だから、私は自分のクラスはきれいにすることを心がけている。
 ゴミを散らかすのは特定の生徒で叱っても「オレのゴミじゃない」と言いはり、らちがあかない。そこで私は次の年から、新しいクラスが始まったら「ゴミは必ず拾おう」などと言いながら二週間、黙々と拾い続けた。
 今度は、近くの生徒に「手伝って」と言って、一週間いっしょにやる。このこのろから「先生って掃除すきなのね」と言われる。そして、最後の仕上げとして「ハイ、○○くん、そこのゴミ拾って」などと生徒にさせる。
 やがて、机上から落としたゴミを拾ってゴミ箱にきちんと捨てに行く生徒も出てくる。 そこで、オーバーにほめる。「えらい! 落としてそのままにしないとは」
 約一ヶ月もすると、少なくとも自分が出したゴミは、自分で始末するという当たりまえのことが定着してくる。ゴミらしいゴミは落ちなくなったら、掃除は五分ですむ。
 ただし、掃除の目的を「生徒の活動」として位置づけるならば、このやり方は適切ではない。私の学級では「学級の約束7ヶ条」に掃除が入っている。掃除サボリは見逃さない。4月いっぱいはうるさいくらいに言う。
 
「掃除は地味な仕事です。この地味な15分程度の仕事ができない人が、もっと地味な勉強なんてやれますか。先生は、30年間で数千人の生徒を教えて、掃除をサボってばかりいるが、勉強はよくできたという生徒は、たったの3人しかいなかった」
 
「こつこつと掃除をやれる生徒は、やはり勉強もこつこつと取り組める人間になれるようだ」なかば、脅し文句のようだが事実だ。
 掃除のサボリの理由は「早く帰って、遊びたかった」「部活に早く行きたかった」がほとんどだ。単なるわがままに過ぎない。
 実際に掃除をやっているか確かめなければならない。ぶらぶらしたり、おしゃべりしてやっていない者、途中でいなくなり終わるころにやって来る者など、サボっているのと同じ子がいる。それぞれに応じて叱って見逃さない。
 したがって、サボリの翌日には、念のために理由を聞いて緊急事態以外は、罰の掃除を一週間させる。
 この指示に従わなかった生徒は、家庭訪問で親にも協力を仰ぎ、指示には従ってもらうことになる。もちろん、親には懇談会などでもその旨を伝え、合意を得ておく。
 教室はゴミだらけだが、掃除はサボっても叱られることもない。こんな学級ではまじめに取り組むのが、ばかばかしくなってしまうだろう。うるさい担任だなと思われても、見逃してはいけない。
 まずは、サボったりする生徒に好かれ支持されようと思ってはいけない。まず最初は、かなりいるはずのまじめな生徒たちに支持されるのが、一番大切なことだ。
 生徒指導も学級指導も、まずまじめな生徒に支持され、次にその周辺の集団に広げる。そのためには、サボる生徒を見逃さないようにしなければ、まじめな生徒たちは誰も教師を支持しないだろう。
 以上を揺るがさずに基本にしていれば、学級全体が荒れることはない。
(吉田 順:1950年北海道生まれ、元横浜市公立小中学校教師(37年間)。生徒指導部長、学年主任を歴任。「生徒指導ネットワーク」を主宰。生徒指導コンサルタントとして全国の「荒れる学校」を訪問し指導方針づくりに参画。講演、著述、相談などの活動をしている)

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