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教育で大切なことは、子どもの実態を知ること、笑いのある面白い授業である、どうすればできるか

 教育の原点は「子どもを見る」ことです。常に子どもの実態をつかみ、その実態を良い方向に変えることこそが教育です。その前提として、教師が子どもに興味や好奇心を持ち、大好きになる。そのうえで、減点主義で見ず、育てる目で見ることです。
 私は特別な用事がないかぎり教室にいて、子どもたちと過ごしてきました。毎朝20分間は必ず子どもと汗まみれになって遊んできました。子どもがいちばん本音を出すのは遊びのときだからです。
 いじめられていたり、何か不満があると途端に笑顔が消えてしまいます。ふだんは元気な子がひとり教室にぽつんと残っている。みんなでドッジボールしていてもその子にだけボールが回ってこない。こうしたことはすべて異常なのです。こうしたサインを見落とさないことが大切です。
 より深く子どもを知るには、その考えを積極的に引き出さねばなりません。日頃の発言から考えを知ることはできますが、それだけでは弱い。
 そこで「書かせる」ことが重要になります。書かせるために、私は子どもたちに「はてな?帳」を活用していました。「はてな?帳」には、子どもたちが疑問に思ったことを何でも自由に書き込みます。身の回りの疑問のほかに、自分自身や家族のこともよく書いてきます。
 この「はてな?」の目のつけどころや掘り下げ方で、子どもたちの学習の意欲やレベル、心の状態までもがわかるようになります。提出されたら、私は良かったところにアンダーラインを引いたり「すばらしい」と一言だけ書く程度にし、子どもの発想力を奪わないようにしました。
 もう一つ、有田学級で大事なツールが、学級通信です。私が保護者に伝えたいことや、明日の予定、時事問題や季節の変化などを板書し、それを子どもたちが書き写します。飽きないよう語尾を「ございます」や「でR」にするなど工夫をしていました。
 効果は、書く力がすごく身に付くこと。また、保護者との信頼関係を築き、共通認識を持つのにも役立ちます。私は、子どものことでわからないことがあれば、保護者に「教えてください」と素直に言えるくらいでないといけないと考えています。保護者との信頼関係なくして子どもを評価し指導することはできません。
 子どもたちを笑いの多い子どもに育てなければいけません。笑いはゆとりです。ゆとりがあれば少々のことは笑い飛ばせるもの。ですから私は「1時間に一度も笑いのない授業をした教師は直ちに逮捕する」と言っているのです。笑いの多い授業を心掛けてください。
 今の子どもたちを相手にするには「ボケとツッコミ」の技術が役立ちます。子どもがまともにきたときには、少しボケてかわしてみたり「えっ、そうかなぁ?」と、とぼけてみたり。そして、ここぞというときに突っこむのです。子どもたちは乗ってきますし、授業が盛り上がりますよ。
 笑いは雰囲気をつくらないと、いきなりは出ません。そこで、私は新しいクラスを持つと、いちばん大切なのは笑うことだと説いて、初日から笑う練習をさせていました。
 もちろん、叱ることも必要です。八つほめて、二つ注意する。まずはほめて、最後に叱ります。
 子どもの考えを引き出すためには、面白い教材を使った面白い授業をすることも大切です。子どもが身を乗り出してくるようなネタを用意して、その考えを引き出し、討論したり、ほめたりしながら鍛えていく。
 教材とともに大切なのは、教師が「教えすぎないこと」だと、私は考えています。子どもが自分でなしとげることが大事です。教師に子どもたちを「見守る忍耐力」が必要です。待つことが子どもを大きく成長させるのだと思います。
 授業の最後には、板書の大事なところを消しながら、毎時間その場で復習するようにしていました。その時間にあまり集中していなかった子を指名し、消した部分を答えさせるのです。この子がわかっていれば、クラス全員がわかっているだろうと評価できるからです。
 このように、授業は一瞬一瞬が評価であり、指導です。休み時間や掃除、給食など、子どもたちが学校で過ごすすべてが評価と指導に結びつきます。評価と指導は常に一体なのです。
 評価とはテストすることだと思わないでほしい。今まで発言が少なかったのが、少し増えた。笑いが少なかったのが、みんなと同じように笑えるようになった。こうしたちょっとした成長を、教師が小きざみな目当てを設定しつつ評価する。その評価を教師が頭の中に記憶するようにします。
(
有田和正:19352014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)

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