子どもたちや保護者が好感を持つ教師の話し方とは
教師の話は長い、くどい、繰り返しが多いと言われます。正しい日本語で、にこやかな表情で、簡潔な表現と発音で、歯切れよく短文で話すことができたら、子どもも保護者も好感を持つに違いありません。
「・・・でぇー」「・・・みたいな感じ」などと中学生のような話し方は、即、改めましょう。話す前に構想を立てるようにすると、分かりやすく話せるようになります。
「話し上手」は、教師に最も要求されるスキルです。基本におきたいのは「生きた言葉を使う」ということです。
マンネリ化した言葉や、抽象的な言葉、場当たり的で浮ついた言葉ではなく、新鮮みがあり、自分自身の「今、ここで」の気持ちがこもった言葉を使うことです。
言葉には、その人の生きざまや日常生活が強く反映し、特に、体験することにより体の中に自分の言葉が生まれます。「話し上手」になるための前提として、日ごろから新鮮さを保ち、人と交わり、自分の体験を豊かにふくらませたいものです。
また、なによりも大切なのは、「話が長くならないようにする」ということです。相手に話を聞いてもらうということは、予想以上に相手のエネルギーを消耗させています。そのため、大事なことだけを整理して言うなどして、配慮深い話し方を心がける必要があります。
話し方で重要なことは、結論から先に述べることです。結論を簡潔に述べ、その後、状況の許す範囲で、具体的に説明をしたらいいのです。
話す前に、メモや原稿をかならず準備するということが考えられます。その場合、少なくとも、どんなことを言いたいのか、伝えたいのかを整理し、箇条書きにしたり、絶対に伝えたいという内容はキーワード化し、色を変えて書いておくといいように思います。
さらに、話を興味深くするためには、いわゆる「起承転結」を意識したり、体験談や会話文などを挿入したり、話す内容の順番や関連を工夫したりして、十分に吟味し、準備しておきたいものです。
そうして、ゆっくりと、相手に伝わっているかを視線や顔の表情、ボディアクションで確認しながら、話していくほうがいいようです。
わかりやすい話し方を身につけるには、次のことを心がけ、何をどのような順序でどう話すか準備をする。
(1)話す目的と内容を確認し、何をどのような順序でどう話すか準備をする。
(2)難しい言葉は避け、区切りながら、短文で話すようにする。
(3)資料を用意したり、具体例を示したりして、目で確かめながら聞けるように配慮する。
(4)自分がこの話し方は良いと思った人や先輩の話し方のコツを観察し、無理のないように真似たり、取り入れたりする。
(5)話し方が上手でも中身がなければ意味がありません。本を読み、体験を重ねて、内容のある話ができるようにする。
(有村久春:1948年鹿児島県生まれ、東京都公立学校教師・指導主事・小学校校長、昭和女子大学教授、岐阜大学教授、帝京科学大学教授を経て、東京聖栄大学教授。専門は教育学、生徒指導研究、特別活動研究、学校カウンセリング研究)
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