授業中によくしゃべる子どもを静かにするには、どう指導したらよいのでしょうか
よくしゃべる子どもにどう対応したらよいかを考える前に、自分自身の授業の進め方を客観的に見て、授業のやり方を考えなおすことも必要です。
テレビカメラのように、よくしゃべる子どもをアップで見るだけでなく、ヒキで教師もふくめて授業中の学級全体を見るようにします。
そのときの視点として、つぎの7つがあげられるでしょう。
(1)手作業などをともなった操作活動、学習遊びやゲームなどを取り入れているかどうか。
(2)しゃべる子どもに授業の本流にそって活躍できる機会を与えているかどうか。
(3)教師の話術や、指示、発問のしかたは適切かどうか。
(4)後ろ向きになっての板書や説明調の時間が長すぎはしないか。
(5)授業中、子どもへの励ましのことばかけより、注意や叱ったりすることのほうが多くなってはいないか。
(6)しゃべる子どもや同調者をふくむ座席の位置に問題はないか。
(7)子どもがおしゃべりやふざけの原因になっているかもしれない、子どもが熱中している遊びなどをとらえているかどうか。
たいせつなことは、気持ちの上でいらだったり、なんとかしようとあせったりしないで悠然とかまえることです。
子どもの性格やくせはすぐには変えられないものですし、その子のためによかれと思ってやることが、逆に反発をまねくといった事態につながることがあるのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
1 学級指導
全員の子どもが具体的に活躍できる場面を、授業中に豊富に取り入れることです。
授業で大切なことは、導入からまとめまでの流れの中に「静」と「動」を適切に組み入れることです。
静かに話を聞くだけでなく、子ども自身を生き生きと動かすことが必要なのです。体ごと学習に取り組めるような授業を組織することが重要です。
子どもは、低学年だけでなく、高学年でも、やりたがりやなのです。自分の手でやってみたい、自分の頭で考えてみたいと思っているのです。
この「やりたい」という要求やエネルギーを生かすことです。ですから、授業を準備するとき「子どもに何をやらせようか」と考えるのです。
子どもが活動して、熱中していたり、忙しくしているときは学習量が当然多くなり、おしゃべりしたり、席を離れたりするひまは出てきません。
そのような授業はどのような方法があるのでしょうか。
(1)チームで子ども同士の力を活かす
例えば、わり算指導で、四人一チームが黒板で、チョークをバトンにして一つの問題を共同作業でやります。一度に五チームぐらいやることができます。たす、ひく、かけるも四つの部分に分けてやればできます。また、漢字の書き順や音読も可能です。
(2)作る
画用紙で分数カードを作る。厚紙でかけ算カルタを作る。折り紙を折る、漢字カードを作る、社会で調べたことを絵にするなどの作業です。
(3)グループで学習ゲームや学習遊びをする
参考文献が多く出されています。
(4) 書取り
書き取りを多く取り入れることです。板書したものをノートに書き写すのではなく、教師が口頭でゆっくり、くり返し発言することを、全員の子どもたちがしずかに聴き取りながらノートに書いていくことです。
授業の始めに、この時間に学ぶ中身を子どものことばで書かせるとか、学習のまとめ、家庭学習の中身、明日の学習の準備、また、家庭への連絡事項などいくらでもあります。
書き取りは、耳と頭と手を連動させる高度の精神活動ですから、根気よく続けると、集中力もつき、落ち着いた人間の形成に役立ちます。
2 個別指導
よくしゃべる子どもは、いくらことばで注意しても効果がないものです。授業中に活躍させる場面をできだけ多く与えることです。例えば、板書させる、教具を操作させる、配る、作るなどです。
授業がおもしろくて、自分が活躍する場、認められる場があれば、子ども自身が余分なおしゃべりをしなくなります。
つまり、おしゃべりな子どもの積極的なエネルギー、行動力の発揮する場を、授業中にたっぷり与えることです。
もちろん、おしゃべりな子どもだけというわけにはいきませんから、ほかの子と上手に組み合わせてのことです。
そして、やったことについては評価してあげることです。よい意味のリーダーに育てることが個別指導の決めてではないでしょうか。
(相原 昭:元東京都公立小学校教師)
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