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新学期、教師は学級の子どもとたちと関係性をつくるために、どのように出あうようにすればよいか

 学級のスタートでまず大切なのは、教師が子どもたちに「安心」をあたえるということです。「安心」とは、ホッとした気分になれること、心配なく任せられる気持ちがもてるようになることです。
 その「安心」でつつみながら、子ども同士のなかに「一人ひとりが主人公」「力を合わせて自分たちでやれる関係性」をつくっていくのです。
 子どもはこの「安心」がなければ、教師を信頼しません。指示しても言うことを聞かないでしょう。その理由は、二つです。
(1)
学級の子どもたちを指導するのですから、生活まるごとを対象にした取り組みになります。子どもと教師との人間対人間の取り組みで、いわば全人格にかかわる取り組みです。
 それゆえ、「安心」から「信頼」へ、という基盤がつくられなければ、そもそも出発が成りたちません。
(2)
すべての子どもがどうにもならないほどの、ストレスを溜めています。したがって、教師が子どもに安心を与えてあげなければ、子どもは暗い淵に沈んでしまうことになるでしょう。
 では、具体的に何をすればよいか。まず、教師の投げかける言葉や行動が大事です。
1 ひいきをしない
 教師の「先生は子どもが大好きなの。だから誰もひいきにしないで大事にするからね」という言葉。これが一番歓迎されます。子どもたちをホッとさせます。
2 人間にクズはない
 教師が子どもたちに「人間にクズはないという言葉を知ってるかい。誰だってよい点をもっている。だからお互いのよい点をみつけ合い、暴力やいじめでなく、話し合いで解決できる学級をつくっていこう」と話す。
3 子どもたちといっしょに楽しむ
 安心をあたえるには行動が大事です。言葉だけでは、子どもは安心しません。教師の行動をみつめ、その事実で安心をつかんでいくのです。キーポイントは
(1)
遊んだり、楽しませてくれる
 教師が子どもたちといっしょに楽しむことです。手あそび、歌あそび、集団ゲーム、長縄とびなど、ふれ合いの実感が伝わるものがよいでしょう。
 子ども同士の関係性を深めるのに役立ちます。教師にも理屈抜きで安心感をいだくようになるのです。
(2)
話をよく聞いてくれる
 話を聞くときは、顔や眼を見ながら聞くこと。また共感・納得できることには、うなずきながら聞いてあげることが大切です。
 よく聞いてあげれば、子どもは安心(信頼)してたくさん話すようになります。そうなれば教師の方も、効果的な話ができるようになるわけです。
(3)
できない子、へたな子にもやさしい
 年を追うごとに問題性の深い子どもが増えているため、ともすると叱責や注意が多くなりがちです。しかし、誰だって怒鳴られたり叱られたりするのは、好きではありません。「やさしくしてほしい」という子どもの声は、当然のことと言ってよいでしょう。
(4)
気がかりな子どもへの対応
 気がかりな子どもが増えました。いわゆる手のかかる子、問題性をふくむ子どもたちです。そうした子の生育歴をみると、ほとんどが淋しさをかかえています。温かく対応してあげることが必要です。対応の観点は
1
ざわつき動きまわる子
 教師の用事を頼んだり役割をもたせたりして活躍させ、長所をみつけて励ます。
2
乱暴する子、すぐムカツキ、キレル子
 パニック状態のときは、危害防止に努め、落ち着くまで待って説諭する。
 平静な時に、手・足・体にふれてやさしさを伝え、対話の相手になる。
3
黙っている子
 意見を言うことを急がず「どうしたの」「何をしたいの」と、じっくり聞いてあげることに努める。自分の気持ちを書いて、それをもとに対話するのもよい。
4
成績にこだわり、落ちこみやすい子
 係の仕事や役割をもたせ活躍することで、長所をみつけて励ます。勉強以外で頑張ったことを大きくほめてあげる。
5
不登校の子
 登校させることを主目的とせず、生活の力をつけるよう「自分にできること」を増やす。また「友だち」ができるよう支援してあげることが大切。
 いずれの子の場合も、保護者との共通理解と共同の努力が欠かせない。保護者に問題点の指摘だけではいけない。「どうしたらよいか」を具体的に提言し「いっしょに努力しましょう」と励ましあうことが大切。
(
坂本光男:19292010年、埼玉県生まれ、元小学校・中学校・高校の教師。教育評論家。日本生活指導研究所所長・全国生活指導研究協議会会員)

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