新学期の最初の学級づくりは、どのようにすればよいか
学級づくりは、新学期のできれば三日間で組織してしまうとよい。これは、どれほど強調しても強調しすぎることはない。
初めて出会った子どもたちは緊張して静かである。新しい担任、新しい学年に期待もしている。この時なら、担任のいうことを素直に聞く。この間に組織してしまうのだ。
組織するとクラスの動きはスムーズになる。動き方、ルールが決まっているので、誰でもできる。ルールがないとクラスの動きがギクシャクして、いつの間にかクラスは荒れていく。学級を組織していく順序は
(1)クラス目標の決定
どのようなクラスにしていくか話し合い決める。クラスの合意を得る。むろん担任の考えを反映させてよい。
教師がどのようなクラスにしたいのか、はっきりと心に描き、クラス全員のものにしなくてはならない。映像としてとらえられるまでに、具体化しなければならない。
(2)目標をやりぬくためのしくみ、当番活動・係り活動を決める
当番活動は給食当番とか、掃除当番とかで、毎日くり返される仕事であ。週ごとに順序が決められればよい。仕事の内容を明確にし、責任(班長、毎日交代でもよい)の所在をはっきりさせないと、だらしなくなる。
係り活動は、黒板係とか配り係とかいわれているものがある。仕事内容は当番に近い。このような係りは班ごとでも、一人一役割でもよい。
クラス全体にかかわる本来の係り活動は、ゲーム係り、掲示係り、集会係りなど、文化・スポーツ・レクレーションが主たる内容となる。子どもの創意工夫・やる気・企画実行力などを育て、楽しい学級生活を実現することを目的としている。若い教師の腕の見せどころなのである。
例えば「楽しいクラス」を目標とするクラスでは「集会係」「イベント係」などが大活躍することになるだろう。授業も、もちろん楽しいものにする必要がある。チェックし達成度を喜びあうシステムも必要だろう。
目標を達成するには、子どもを動かすことが必要になる。教師はガキ大将のように、子どもを動かす能力が必要なのである。子どもを動かす原則はいくつかあるが、最も大切なことは「ほめる」ことである。
どれほど小さな努力でも見のがさずに、ほめることである。ほめて、ほめて、ほめまくるのである。「努力」を認められ、ほめられる時は、心地よいものだから、人が動くのである。
(3)責任の所在を明らかにする
係り毎の長でもよいし、その日のできごとは日直が責任をもつということでもよい。当然ながら責任をもつ人は権限を持つ。その権限を保障するのは教師である。
(4)活動をいつ行うかを明らかにする
時間を保障しなければ、ことはすすまない。私の朝の会は三分、帰りの会は30秒である。
(5)生活するうえでさまざまなルールを決めておく
思いつくままでよい。新しく出たら、その時追加すればよい。クラス全員に伝える。
この中で、最も大切なのは、担任としての挨拶と話です。
学級経営の急所は、人間である教師が人間である子どもと、どのような絆をつくっていくかということなのである。人間と人間との絆をつくるのだから、相手を人間として認めることが出発点となる。
教師は自分のクラスをすばらしいクラスにしたいと思う。一番いいのは、自分の得意な分野をまずやっていくことである。「良いもの」をとりあげると「良い結果」が出るようになる。
私の趣味で取り入れた百人一首、これが実に好評だった。保護者にも感謝された。「五色百人一首」は一試合が三分でできる。すき間、時間にできる。「読み方」を録音しておけば、子どもだけでも熱中できる。
教師に、絶対必要な心構えがある。それは、子どもを丸ごと受け入れるということである。包み込めるということであり、暖かく接することができるということである。
「ぼく先生なんか大嫌いだ」と憎らしく言う子どもも、受け入れ包み込まなければならない。これが教師の宿命なのである。子どもたちのすべてを受け入れ包み込み、そして更に「子どもの可能性を伸ばそうという努力」が重なったとき、子どもは別の表情を見せる。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)
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