健康診断では異常ないのに疲れやすいとき、どうすればよいのでしょうか
疲労感や倦怠感は、過労、身体的不調、精神的ストレスなどとの関連が強い自覚症状です。不安や緊張が強い時にも感じます。
倦怠感や疲労感がなかなかとれない場合は、まず体の病気を考慮しなければなりません。一般的には、身体疾患では疲労感が仕事の後、午後から夕方にかけて強くなりますが、うつ病などの精神疾患では朝からのだるさを訴えることが多くみられます。
うつ病のような明らかなこころの病気でなく、体の症状に現われやすいストレス病の場合も疲労感はみられやすいものです。
性格的に疲労を感じやすく職場になじめず休みがちになってしまう場合が多く、性格要因と職場の環境要因が大きい問題といえそうです。
精神的ストレスによる疲労では、ストレス状態への「気づき」を図り、その上で気分転換することがもっとも大切です。ふだんから自分なりの気分転換、リラックスの手段をもつことをお勧めします。
1 ストレスを回避する
ストレスを解消するために正面からぶつかることは、大きなエネギーと苦痛を伴います。むしろ、ストレスを予測して、回避する方が楽です。そのポイントは
(1) 予測する
ストレスになりやすい場面や状況を予測し、そうならないように対処法を前もって考えておくことが大切です。無用なストレス状況に巻き込まれないためには必要なことなのです。
(2) 自分のクセを知る
自分の苦手な場面はどういう場面なのかを知っておくことも大切です。ストレスとしないためには、現実的な状況判断と自分なりの目標をもつようにします。
ストレスをためやすい自分のクセを知り、それを修正するような努力も大切です。ロールプレイングや自己主張訓練等の研修に参加し、対人関係の練習や上手な自己主張の方法などを学ぶことにより、ストレスに対処する力を身につけたい。
(3) 相手のクセを知る
人には、攻撃的な人など、いろいろなクセがあります。相手がどういう人か特徴やクセを知っていると、無用なストレスを背負うことも減るでしょう。
子どもとの関わりでは、その子がどういう気性で、どういう行動をとりやすいかを知っていること。
ともかく、自分の思いだけで事を進めようとすると、とかくトラブルのものになるものです。こじれてから不満をいうのではなく、事前に対処することがストレス回避には重要なことです。
2 ストレス解消
ストレスを回避できればそれにこしたことはないのですが、やむなく巻きこまれる場合も多々あります。解消する方法は
(1)休養する
ストレスをためこみ、気分が落ち込んだ場合は、まずは休養をとることが有効です。
休息や睡眠をとる、仕事量の軽減などの身体的な休養と、くよくよ考えない、発想の転換をするなどの精神的な休養とがあります。
たとえば、今必要でないことは後回しにする。おいしいものを食べ、いつもより早く寝る。休日は仕事のことを忘れ。ゆったり過ごす、マッサージなどで体を癒す。
ただし、几帳面でまじめなタイプの人はむずかしいことかもしれません。そうした考え方を思いきって変えてみるようにしなければ、事態を一層深刻にしてしまうことがあります。
(2) 発散する
休養だけではストレスが解消しないことがあります。そういう時は、体を動かすストレッチのようなものなら取り組みやすいかもしれません。
もう少し元気があれば、水泳やジョグングなど動きのあるものが体を通してストレスを発散させてくれます。
おしゃべりやグチを聴いてもらうだけでずいぶん楽になるものです。カラオケやアルコールを飲むことも気分を明るくさせてくれ、よい発散になります。
(3) 吸収する
健康を保つエネルギーが体に貯まっていないと、今ひとつ元気が出ないことがあります。そういう場合、エネルギーを得るには、食べること、寝ること、体を動かすなどをして体内のエネルギーを賦活させます。
スポーツや旅行、音楽、絵画、本など好きなものならば、楽しさや充実感や刺激を得ることができます。自分の得意な分野に挑戦して自信を得ることも大切です。
(中島一憲:1956-2007年、1990年より東京都教職員互助会三楽病院勤務し部長、東京医科歯科大学教授を歴任した。精神科医師)
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