よい学級をつくるコツは「朝の会・帰りの会」を充実させることである、そのポイントとは
朝の会は連絡する場ではない。一日の指針を示し、子どもたちにやる気を起こさせるところである。
帰りの会は子どもたちへの注意・連絡する場ではない。一日のまとめをし、生活の前進面を評価しつつ、明日からの課題を子どもたちにつかませるところである。
私が実践してきた「朝の会・帰りの会」のポイントとは
1 朝の会のポイント
(1)連絡:3分
教師・子どもからの連絡。短時間ですむように正面黒板に色別に書く。今日すぐ必要なことは赤。放課後までに必要なことは黄色。翌日または2~3日中に必要なことは白のチョークで書く。
そして短い説明をしたうえで「緊急に質問したいことがあったら、ここで聞きなさい。あとですむことは、休み時間に聞きにきなさい」と言うのである。
(2)教師の話:7分「2つほめ、一つ課題を与える」
これを重点におく。前日の生活から「ほめること」を2つ、「課題とすること」を一つ選び出して話す。
前日の生活の中から、学級や班や個人のすぐれた行動や頑張った事実をとり出し、まず2つほめる。そしてその後で、克服すべき課題を一つ話すのである。ほめたことと結びつけて課題を示していくのである。
実践ノートに書いていくと、4~5ケ月してみてはっと気づかされることがあった。それは、私のものの見方・感じ方・考え方がノートに如実に書かれている。
これは私の道徳教育の記録でもあり、人間の価値を子どもたちに示しつづけてきた日々の記録でもあったということができる。私はこのことに力を注いだ。
しかし、これを毎日続けるにはたいへんな困難と試練があるのである。教師が忙しさに追われて学級への指導を手抜きしていたり、マンネリ化した日々を送っていたりすると、ほめたくてもほめる事実がとらえられないのである。
したがって「毎日、2つほめる」ためには、つねに教師が学級と子どもたちに新鮮な課題を示し、意欲的な取り組み、活動をつくり出し、展開させることが必要なのである。
そうした挑戦がない限り、教師は朝の会でやる気を起こさせるどころか、注意・叱責ばかりをすることになる。
また注意・叱責をしない場合でも、ほめることに具体性や感動がなくなり、形式的なことしか話せなくなってしまうのである。つまり、自分自身の「実践での勝負」がいつも必要だということである。
2 帰りの会のポイント
子どもたちは一日の中でいろいろ活動しているため、連絡や要求が多いので多くの時間をとる。教師の話は短くする。
(1)連絡・要求:7分
班長、班、係、班長会、委員会、日直、当番などからの連絡、要求。
(2)教師の話:3分
教師の連絡、きょうのホームラン。
帰りの会で注意しなければならないことは
(1)できるだけ10分間で終わらせるように努めることである。
子どもたちは部活、帰宅、友だちとの約束があったりして「早く終わらせてほしい」という要求を強く持っている。それを無視してダラダラやっていると、帰りの会への意欲と期待を失わせてしまう。
そこで、口で言わなくてもすむことは、小黒板に書かせる。重要な連絡や要求だけを言葉で話させるようにする。
(2)教師の話も短くする。
帰りの会では、教師の長い話には抵抗を感じている。短くてスカッとした話し方を好むのである。だから最も必要なことだけを評価したり、語ったりするのである。
(3)きょうのホームランは何か
その日全体の中で、クラスの発展や一人ひとりの頑張りとして評価すべきことは何だったか、それを帰りの会の最後に発表し合うのである。
学級がスタートしたばかりの頃は、何がホームランか、子どもたちは気づかないでいる。だから教師が
「さあ、きょうのホームランを言うぞ。一つは五班だな。国語の朗読大会で一位にはなれなかったけど、団結賞をとった。これが光っている」
「二つめは保健委員だ。養護の先生が、きょうの体重測定のとき、みんなもよく協力したが、保健委員の二人がずいぶん気を使っていたといっていたよ。これも光るな」と、見本を示すのである。
このように教師が事例を示しながら一週間ほどしたら
「どうだ、きみたちが発見したホームランはないか?」と、子どもたちに自発的に発表させるのである。それに教師が気づいたことを加えながら、子どもたちと教師が共同でホームランを見つけ出すのである。
さらに二か月ほどすれば、もっと高いレベルの方法を取り入れるとよい。それは、1~2分程度の班会議をして「わが班のホームラン」を発表する。さらに進歩したら他の班のホームランを発見して発表する。
これは、集団の中の相互評価である。この相互評価が質の高いものになればなるほど、学級も発展する。そのような充実した帰りの会になれば、多少の時間延長は苦にしなくなる。
(坂本光男:1929-2010年、埼玉県生まれ、元小学校・中学校・高校の教師。教育評論家。日本生活指導研究所所長・全国生活指導研究協議会会員)
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