子どものよさを毎日黒板に書くことや、まちがいを大切にした学び合う授業が、子どもたちを変えた
私(吉澤良紀)は、小学校六年生の担任になりました。六年生は始業式の前日に登校し、入学式の準備をすることになっていました。
私はクラス全員の名前と顔を一致させ、まだ担任が誰になるか知らない子どもたちの働く姿を見て、よいところを見つけていきました。
そんな子どもたちの素敵な姿を黒板いっぱいに書き、始業式を迎えたのです。それを見て、子どもたちは、この先生は何かちがう。もしかしたら、わたしたちは変われるかもしれないと、前向きになっていったのだと思います。
どんなに反抗的な態度をとる子でも、どんな荒れた学級でも「自分を認めてほしい。愛してほしい」という人間としての欲求をもっています。
子どもたちの内面にある成長したいという願いを読みとることができるのか、教師の心構えが問われているのだと思います。
子どもたちの、その欲求にこたえ、実現する学級をつくっていくことが教師の役目なのだと思います。
日々、子どもたちのよいところを見つけて黒板に書くという「黒板メッセージ」は一年間、ほぼ毎日続けていきました。
新しく見つけ出した自分たちのよいところを学級のなかで学び合い、学級のよい文化となっていきます。
学級づくりの柱になるものは、やはり授業です。
授業で、まちがいや失敗が大切にされることで、新しいものを創り出し、自分の新しい可能性を見つけ、自分を変えていくことができるのです。
発言を苦手としている子は、まちがえて何か言われることがはずかしく、発言することに強い抵抗感を持っています。この心の壁を取り払わなくてはいけません。
そのために、私は授業で事実と体験をつくっていきました。
「自分の意見を聴いてもらい、うれしくなった体験」
「まちがった意見が授業の中で生かされていく体験」
こんな体験が「まちがい」の大切さを気づかせ、子どもたちの心の壁をとっていくのです。
ちがう意見がなくては、新しいイメージや発見が生まれないことを子どもたちは体験から知っていくのです。正解だけがよい意見ではないのです。
本質的な内容の学習は「ちがう意見=多様な意見」を必要として、それらがつながりあっていかなくては解けないものが隠れているように思います。
だからこそ、学級という集団が必要であり、多様な考えをもつ子どもたちが必要になります。そこでは、まちがいもまた一つの新しい視点として生かされて、授業を深める貴重な宝物になっていくのです。
(吉澤良紀:1978年東京生まれ、東京都公立小学校主任教諭)
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