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「ほめ方、叱り方」で子どもをダメにする教師、伸ばす教師とは

 どうしても叱らなければならない場合があります。そんなとき、どうすれば子どもの心を傷つけずに叱れるかがポイントになります。
 子どもに教師が「あなたは、どうしてできないの」「こんなことばかりして、ダメな子ね」と、言っていると、子どもは自分に対してマイナスのイメージしか持てなくなる。
 人間としての人格を否定される言葉を聞き続けて育つと、健全な自己イメージは育ちません。
 そうではなくて 「あなたは本当は良い子なのに、何がこうさせたの? 先生は良くないと思うよ」というように注意します。
 行為が悪いのであって、その子が悪いのではない。「本当は良い子」と言われた子どもは素直に反省するようになるでしょう。
 子どもを承認することは大切なことです。承認とは、ほめることだけではありません。叱ることも承認することになります。
 この二つのことを自動車の運転に例えれば、ほめることは「アクセル」、叱ることは「ブレーキ」になります。ほめることは、子どもの推進力になります。ちょっとだけほめても、前には進みません。常にほめ続けることが必要です。
 叱ることも必要です。常にアクセルだけでは、自動車は事故を起こしてしまいます。正しい方向に向かわせるブレーキが必要です。
 必要な時にほめ、叱らなければなりません。山本五十六の有名な言葉「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」とは、育てることの真髄です。
 保護者や教師から「子どもたちはやる気がない」という相談をうけます。そのお話を分析してみると、ほとんどの場合、保護者や教師の対応に問題があります。細かいことにいちいち口うるさく指示を繰り返しているのです。
 
「遅刻しないように早くきなさい」「早く席に着きなさい」「ゴミを落とさないで」などなど、朝から夕方まで言われ続けます。
 子どもとしては、一日中言われ続けたら、もう聞く気になりません。注意されることに慣れてしまうのです。
 だから「叱られても、どうせこれくらいは大丈夫さ」と、教師の対応を見透かされているのです。だから、叱っても効果がなく、叱れば叱るほど効果は薄れていくのです。
 叱られてばかりいる子はやる気をなくすだけでなく「人の話をいい加減に聞く」態度まで身につけてしまいます。
 一日叱ってばかりでなく、何かひとつのことを改めてくれたらいいという気持ちで、ポイントを絞って叱るようにします。八割ほめて、二割叱るぐらいがよいのです。
 ほめることは、叱ることより難しいことです。人の短所は見なくても見えてしまいますが、長所は意識して観察する目が必要なのです。
 子どもを喜ばせることばかりを意識すると、わざとらしいほめ方、口先だけのほめ方になりがちです。これでは、子どもに不快感を与え、逆効果になってしまいます。
 子どもに信頼を得るためには順序があります。まず、子どもの存在を十分に認知し、その上に徐々に、関心、理解、承認、賞賛のほめ方を考えてあげましょう。この順序を間違えてしまうと効果的ではありません。
 子どもをほめることは、教師の能力を高め、新しい発想ができるようになります。優れた教師は日頃から「子どものほめるところは、どこにあるのだろうか」という目で観察します。また、的を射たほめ言葉にするために、子どもの言動を注意深く観察しています。
 すべての子どもは、すばらしいところを持っています。すべての子どもに対して興味・関心があれば、どんなことでもほめることができます。
 
「どうしても気が合わない」という子どもがいたら、子どもの長所だけを見る訓練をしていきます。さらに「○さん、友だちの靴、そろえていたよね。えらい」と、ほかの子どもを使ってほめます。回りまわって、本人の耳に入り、関係の修復に役立つことがあります。
 
「ほめたいのだが、ほめるところが見つからない」という教師は、子どもをほめることに対してハードルが高い。
 とりわけ高いハードルとして、さまざまなことを「できて当たり前」と考えて、評価基準が高すぎることはないでしょうか。特別なときにほめようと思っていませんか。
 
「欠席しない」「元気がよく、活発である」など、本気でほめたいと考えているならば、どんなことでもほめる要素は無尽蔵にあります。
(
神谷和宏:1960年生まれ、愛知県公立中学校教師。 読売教育賞などを受賞。教育コーチング、心理カウンセラー)

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