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どのように叱れば子どもは変わるのでしょうか、そのポイントとは

 僕の怒りは本物です。でもこの怒りは、僕にとっても子どもたちにとっても必要な感情だと思っています。
 子どもたちに成長してもらいたい。子どもたちに自分の可能性を信じてほしい。だからこそ、子ども自身があきらめようとする時に、僕は悔しさと共に怒りを感じる。それは愛情の裏返しなのです。
 でも僕は、その怒りをそのまま子どもにぶつけることはしません。本来の目的は、子どもたちの可能性を引き出すことだからです。怒りを冷静にコントロールして、子どもたちの成長のために使うこと。これが、僕にとって「叱る」ということです。
 叱った後には必ず、子どもたちにフォローを入れています。フォローとはつまり、なぜ叱ったのか、理由を明確にして、本人が納得できるまで話し合うということです。
 そして、叱られた子どもが大切なことに気づき、少しでも成長が見えたら、必ずその子をほめます。「叱る」は「ほめる」と、セットになって初めて意味を持つものだからです。
 子どもたちがルールを守らない、やるべきことをやっていない時に叱らなかったら、子どもは本当に大切なことに気づけない。成長するチャンスを失ってしまうと思うからです。
 子どもたちを叱ろうとする時、僕にはすでに、叱った後で子どもたちが自信にあふれ、笑顔で動き出すシーンのイメージができ上がっています。
 ポイントは、子ども自身に考えさせることです。「きみのやったことに対して、きみ自身はどう思うんだ」と、まずは問いかけてみる。
 叱る側の愛情に裏付けられた怒りが伝われば、子どもは必ず誤りに気づいてくれます。そして、間違いを正すにはどうするべきかを、自力で考え始めるのです。
 考え始めたら、自分で答えを出すまで根気強く待ってあげること。一緒に考えてあげるという姿勢が重要です。
 根底にあるのは、もちろん子どもへの愛情です。子どもの可能性を信じ、成長を願う心です。
 叱るのにはとても大きなエネルギーが必要ですが、子どもの成長はきっと、その何倍もの希望を僕たちに与えてくれます。それは、叱ることで得られる、僕たちにとっての最大のご褒美なのだと思います。
 子どもは一人ひとり個性を持っています。ですから、こういう叱り方がいいとはいちがいには言えません。
 まず、子どもをまっすぐに見て、その子にとって今一番必要な「叱り方」がどういう形かを見きわめることが大切です。
 では、どうやって子ども一人ひとりの性格を見きわめるかといえば、それは「感じる」ということです。見た瞬間パッとわかる子もいれば、コミュニケーションを重ねて、なるほど、そういう性格なのかとわかる子もいます。
 大切なのは、こちらが愛情と関心をもって見ること。そうすれば、その子の性格が自ずと見えてきます。
 また、叱り方は、その子の性格だけでなく、僕との信頼関係の深さによっても変えます。
 たとえば、その子が自分に自信を持っていて、かつ僕を信頼してくれているという関係であれば、あえて「テニスをやめろ!」というような叱り方をすることもあります。叱咤激励することで、発奮してくれるからです。 
 中には、叱るべきでない子もいます。たとえば、その子が何をすればよいか自分で判断できる場合です。叱ることで何かに気づかせる必要がない子です。
 もうひとつは、いじめなどがある場合です。精神的に想像以上のダメージを与えてしまうこともあります。
 こうした背景を含めて、まずは子どもをしっかりと見つめ、今、何を一番必要としているのかを見きわめてあげてください。
 子育ては、とかくストレスがたまるものです。一度はわからせたつもりでも、子どもはつい同じ間違いを繰り返してしまう。すると、つい感情的に叱ってしまいます。
 感情的に叱らないために、自分自身を「客観視」してみることです。第三者的に自分を見ると、気持ちは落ち着いてきます。
 実際に叱る前に、心の中で叱る言葉を言ってみる。すると、もう一人の自分が教えてくれます。「それは、自分が感情的に怒っているだけじゃないのか」と。
 冷静さが自然に戻ってくる。すると、子どもを成長させたいという本来の思いにも気づくことができます。
 ひと呼吸おくというクセをつけておくのもよいでしょう。自分を心理的に落ち着いかせてから、子どもと向き合うと、意外と冷静に叱ることができます。
 どんな状況であれ、絶対に使ってはいけない禁句があります。
(1)
子どもの可能性を否定する言葉
 「お前には無理だ」「あなたにはできない」こんな言葉を言ってしまったら、子どもの可能性を伸ばすために指導しているのに、可能性は消えてしまいます。
(2)
身体的なことを否定する言葉
 身体的なことは、自分の意志では変えられません。身長が高い低い、太っている痩せている、といったことは個性です。身体的なことを否定するべきではありません。コンプレックスとして心に植えつけられてしまいます。
(3)
兄弟や友だちと比べる言葉
 子どもに劣等感を抱かせる言葉です。子どもは自信とやる気を失ってしまいます。
(
松岡修造:1967年東京都生まれ、元男子プロテニス選手、スポーツキャスター、スポーツ解説者。日本テニス協会理事強化本部副部長)

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