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学級崩壊を起こさない注意の方法や、指導が難しい子はどうすればよいか

 注意や叱責で子どもたちを動かそうとする教師は意外と多くいます。最初は教師の注意が怖くて、子どもたちは注意されたことに従うことが多いでしょう。
 しかし、それは教師の怒りを収める対応にすぎないので、子どもは同じような行動を繰り返します。そして、子どもは教師の注意や叱責にだんだんなれてきます。
 したがって、注意や叱責で子どもを動かしている教師は、だんだんと自分の指示が通らなくなってくるのです。これは学級崩壊で苦しむ八割近くの教師が陥る盲点です。
 注意や叱責だけで子どもたちを動かそうとしないことが大切です。注意のあとの指導が大事なのです。 
「何を怒られたよく分からなかったけど、先生はとても怒っていた」と、教師の怒りだけに子どもたちの注意がいってしまうのは、注意の仕方としては失格です。
 そう考えると、注意や叱責で子どもを動かそうとするよりも、ほめて子どもを動かすほうが、次の指導に向かわせやすいすいことがわかるでしょう。
 学級集団に対して注意をするときは、子どもたち一人ひとりが自分の問題ととらえるようにするようにします。自分は関係ないという子どもがいると、学級全体に注意が浸透しないのです。
 その意味では、教師が行う注意が、学級全体になされるべきなのか、個別グループの子どもたちになされるべきなのか、個人になされるべきなのかという事前の吟味は必ず必要です。
1 学級全体に注意するとき
(1)
子どもの不安の強さに応じた注意をする
 教師の注意は、すべての子どもに同じように受け取られているわけではありません。平気な子どももいれば、注意に委縮する子どももいるわけです。強く注意し過ぎたなと思ったら、委縮した子どもをフォローしてあげることが必要です。
 従って、不安な子どももその内容を理解できるレベルがいいのです。
(2)
注意は短く簡潔にする
 人から注意されるのは嫌なものです。したがって、教師は注意する目的をしっかり定め、その方法を吟味し、簡潔に伝えることが効果的なのです。
(3)
気の緩みのミスは注意し、試行錯誤の失敗はその原因を分析させる
 怠慢やさぼりから起こってしまったミスは、なあなあで済ませると、ルールが崩れてきますから、小さなことでもキチンと指摘し、注意することが大切です。
 しかし、試行錯誤したうえの失敗は、意欲をほめ、次はどのようにすれば失敗しないかを分析させることが必要です。
(4)
子どもが気づかない問題は、注意するのではなく、質問や例え話をして考えさせる
(5)
教師の感情をつけ加える
 注意する内容を冷静に説明したあと「先生はとてもかなしかったな」と、自分の感情をサッと付け加えることで、子どもが反省する意欲を高めるのです。しかし、グチは逆効果になります。
(6)
注意したあとは、単純作業を
 注意したあとは、教師も子どもも気まずいものです。そこで、子どもが一人で作業ができるドリルなどを30分くらいやらせるのです。作業しながら教師の注意について考え心に定着させていくのです。 
 そしてその後は、その問題に言及しないで、次の授業に取り組むようにするわけです。
2 子ども個人に注意するとき
 教師の注意が子どもに受け入れられずに反発され、教師が特定の子どもと感情的にやりあってしまうことがあります。頻繁にあると、子どもたちの教師に対する信頼感が徐々に低下してしまいます。
 学級には、教師の感情を逆なでするような発言をしたりバカにしたような態度をする子どもがいます。このようなとき、事前に対応する言葉がけを身につけておけば、感情的になることを防ぐことができます。
(1)
注意するタイミングと場所、時間を考える
 他の子どもが見ている前で注意を受けた場合、子どもはプライドをひどく傷つけられたと感じます。
 注意する場合は、子どものプライドを傷つけない配慮が必要です。そのためには、注意するタイミングと場所、時間の長さを、その子に合わせることが必要なのです。
(2)
子どもの抵抗を軽減する
 まず、子どもが教師の言葉を素直に聞く姿勢をつくり、子どもの反発を少なくする関わりが大切です。例えば「きみも気づいていると思うが・・・・」という具合に前置きして、いきなり叱責しないような配慮が必要です。
(3)
注意する内容は現在の行動や態度だけにしぼって短く
(4)
フォローの仕方も計画に入れて注意する
 注意のあとのフォローは、子どもたちの感情の高まりを静め、冷静にどのように行動すべきかを考え、行動に移す意欲を喚起します。
(5)
責任のとり方、今後の対応の仕方を確認する
 例えば、掃除のさぼりを注意されたら、今日のさぼりをどのように責任をとるのか、明日からどのように取り組むのかを考えさせ、確認することが必要なのです。
3 指導の難しい子どもの対応
(1)
教師に感情をぶつけてくる子ども
 教師が感情的に対応したら指導ではなくなります。まず、教師が感情的になってしまう自分の問題は何かを考えることです。
 次に、感情的にならないよう、いったん断ち切る言葉がけや対策を事前に決めておくことです。例えば「これ以上話していたら、先生もキレちゃうから、あとはお昼休みに相談室でじっくり話しましょう」と、その場をいったん収めてしまうのです。
(2)
反抗的な子どもへの対応
 反抗的な子どもには、教師が途中でその言動を否定しないで、最初にどんどんしゃべらせるのです。その後、具体的な事実を提示し、そのことについて認めさせます。
 そして、対応策を教師がいくつか示して、そのなかから選ぶようにさせます。最後に、その内容を復唱させて、終わりにします。
(3)
注意すると言い訳ばかりする子どもへの対応
 注意しても言い訳ばかりして、徹底的に自分の責任を回避し、教師の言葉じりをつかまえて、逆に攻撃してくるような子どもです。
 こういう子どもには、少し淡々と接し、言いたいことを言わせた後に、「ではどうすれば いいの」と逆に質問します。
 答えられなかったり、「別に」とごまかしてきたら、「案がなければ先生が言ったようにやってみて。あとで違うやり方を思いついたら、伝えに来てください」と終わりにするのです。
(4)
聞く耳を持たない子どもへの対応
 このような子どもへの対応は、必ず一対一になれる場所と時間を確保してからする必要があります。教師はその子どものそばに寄り、感情面を中心にトーンを落として淡々と語ってあげます。
 最後に「きみはどう思う」と質問します。返事がなかったら、「先生の言ったことを考えておいてね」と伝えて帰します。
 反応がないからといって、その子どもに必要な注意を怠ってしまうと、それは他の子どもたちに転移します。教師が他の子どもを注意したとき「A男は同じことをしても、何も言われないじゃないか」と反発され、新たな問題行動を起こした子どもにも、注意しづらくなるのです。
(5)
自分は悪くないと言いはる子どもへの対応
 友だちをなぐって泣かしてしまったのに、自分は悪くないと言いはるタイプの子どもです。このような子どもは、まず心を十分に受け入れることが必要です。
 
「きみがA男をぶってしまった気持ちは、先生もわかるような気がするよ。もし先生が君の立場だったら、絶対にぶたなかったとは言い切れないものな。そのとき君はどういう気持ちだったんだい」
という具合に子どもの感情や思いを引き出し、受け入れてあげるのです。
 その後、今度同じようなことがあったら、どうすればよいのか二人で話し合い、暴力に訴えない他の行動の仕方を二人で確認するのである。
(6)
「別に」と言って心を閉ざす子どもへの対応
 このような子どもは教師に対して強い抵抗を持っています。子どもは、自分が説明したところで、教師にはわかってもらえないだろうというあきらめや、自分は教師に嫌われているのだという強い思いです。
 したがって、教師の質問に無理やり答えさせようとする必要はありません。しばらく待って「何か言いたくなったら、いつでも言いにおいで。きみが心に嫌なことがなく生活できるほうが、先生もうれしいからね」と伝えて帰します。
(7)
うぬぼれの強い子どもへの対応
 勉強やスポーツができる、家が金持ちであるなどという理由で、うぬぼれの強い子どもがいます。こういう子どもは、教師を軽んじ、注意してもたかをくくって、受け答えする場合があります。
 こういう子どもには、うぬぼれることへのいましめを一般論として、そして教師の感情も合わせて伝え、子どもの考えを語らせるのです。
 例えば「少し勉強ができるからといって、成績の悪い子どもをバカにするのは情けないと先生は思うんだけど、君はどう思う」という具合です。
(8)
あまのじゃくな子どもへの対応
 教師の注意に反抗して、反対なことをするタイプの子どもです。
 このような子どもには「こういうと君は怒るかもしれないけどね・・・・・」と言って、機先を制した前置きをゆっくりし、怒らないで話を聞こうとする姿勢を促すことも有効です。
(9)
プライドの高い子どもへの対応
 このような子どもは、最初にプライドを傷つけられると、注意をまったく聞かない状態になります。
 したがって、事前にプライドを満たす言葉がけをしておき「あとA、Bができるともっといいね」とより高いレベルになるためのアドバイスのような形で注意するのが有効です。
(10)
ものごとを投げやりにする子どもへの対応
 
「面倒臭い、もうこれでいいよ」と取り組みに対して投げやりで、その結果もおもわしくない子どもがいます。
 その投げやりな態度をいくら指導しても、なかなか変わらないと思います。逆にふてくされて、取り組むこと自体を放棄してしまうことも少なくありません。
 こういう子どもは、自分がいくら頑張ってもたいした結果は残せないんだとあきらめている子どもです。したがって、できる範囲で頑張ったらいい結果に結びついたとか、教師や周りの子どもから認められたという体験を積み重ねることが大事なのです。
 そのため、取り組む際に個人指導で「この辺を工夫するととてもおもしろいよ」という具合にビジョンを与え、意欲を喚起してあげることが必要です。
 そして、こまめに取り組んでいる態度をほめてあげたり、質問したりして取り組んでいることに教師が興味を持っていることを伝えてあげることが大事です。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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