やる気がない子を前向きにするにはどうすればよいか
「最近の子は、どこか冷めていて、やる気が感じられない」という声をよく聞きます。これまでの指導のやり方が通じず、なにを言っても驚かず、受け流されてしまう。そう悩む人が多いようです。
しかし、本当になにを言ってもやる気を出さないのでしょうか。「決してそんなことはない」と、私は思っています。やる気を出すことはできるのです。やる気を引き出すためのコツがあるのです。そのコツは
(1)「何度言ったらわかるんだ」と叱るのではなく「分からないんだな」と受け止める
たとえば、高校野球で「なんだ、その投げ方は」と選手の悪いところを指摘して、より良い方向にもっていこうとするのは悪いことではありません。
しかし、悪いところばかりを指摘していると、人は自分の欠点ばかりに意識が向いて、どんどん自信を失っていきます。積極的な心をなくして、人は成長できないのです。
「叱るのではなく、ほめて伸ばせ」と、よく語られています。しかし、ほめるには、何らかの良い結果を出していないと、ほめることはできません。無理にほめようと形だけのほめ言葉は、相手に見抜かれて効果は少ない。
その代わり「認めてあげてください」。事実をそのまま受け止めてあげるということです。何度説明しても理解していない状態だったら「そうか、わからないのか」と言ってあげてください。
そのうえで「どんなところが分からないんだ?」と聞けば、質問や相談をするようになります。認めてあげれば、安心感を感じて、積極的な気持ちになります。
(2)「なぜ、できないんだ」と聞くのではなく「なにが理由だ?」と聞き「うまくいっているイメージ」をつくるようにする
「なぜ、できないんだ」と聞くのは、言葉の裏に相手を責める意味合いが含まれています。
「なぜ」を「なに」に置き換えてみましょう。「なにが理由だ?」と質問されると、言われた方も理由を答えることに意識がいきますから、冷静に自分の行動をふり返りやすくなります。答えやすい雰囲気ができます。
人が行動するときには、どんな場合でもイメージが先行しています。脳はイメージ通りに実現しようとします。
「できなかった自分」をイメージしてしまうと、どうしてもそのイメージに引っ張られて失敗してしまうことになります。
それよりも、うまくできたときの達成した状態をイメージできて、そのときの喜び状態を感じることができるようにサポートしてあげてください。イメージトレーニングの原則は
①すでに実現した状態、あるいは実現しつつある状態をイメージする
②細部までリアルにイメージする
③そのイメージに自分の感情を加える
(3)「やりなさい」ではなく「やったらどうなるか」を伝える
やらなければならないことはわかっているのに、なぜかやる気が起きないという人はよくいると思います。
そのような場合は「やったらどうなるか」をイメージさせて、ワクワク感を与えれば、想像以上に頑張り出します。「頑張れば、その先に楽しいことが待っている」とイメージさせる必要があるわけです。
目指す姿が明確になると、やるべきことは自然と浮かびあがります。
「楽しいこと」をやっていると脳の中にドーパミンという物質が分泌され、やる気や行動力が高まるようになります。
人間の脳はワクワク感がないと「やるべき」という義務感だけでは集中できない仕組みになっています。
なにか一つをやりきらせてみるとよい。いったん「なにかをやりきる」経験をさせると、自信がつき、あとは放っておいてもどんどん加速して成長していくものです。その最初の一歩を踏み出すサポートをしてあげることをこころがけましょう。
(4)「夢がかなうかも」という気持ちにさせれば、どんどんやる気が高まる
本当に何も夢を持ってない人はいません。ただ、叶うと思えないから、夢を持たないようにしているだけです。
「夢を考えてみよう。あくまで夢だから『これならできそう』というものでなくてもいい。『こうなったらいいな』ということを、自由に考えてみて」と私は言います。
次に「夢だと思っていたけど、実現できるかもしれない」というイメージを持ってもらうための質問をします。具体的に細かく段階を区切って、夢を描いてもらうのです。
最終的な夢が叶うまでの途中経過をイメージさせることで「夢が叶っていく過程」を頭の中で疑似体験してもらうのです。このワークをやると、単なる夢だったものが、どんどんリアリティを増していきます。
夢を聞いても、漠然とした言葉しか出てこない子もいます。そういう子には「憧れの人」を聞くことで「こうありたい」とイメージを具体的に描くサポートをしてあげましょう。
「あの人のようになりたい」という気持ちが人を成長させます。
「あなたが尊敬する○○さんだったら、どんなふうに解決すると思う」「○○さんからどんなアドバイスがあると思う?」と問いかけて解決策をサポートすることができます。
「このように行動すれば、憧れている人のようになれる」というワクワク感は、自分の殻を破って成長するために大きな力になるのです。
どうしてもワクワクする目標が見つからない子には、得たい感情を聞いてみるのも効果的です。たとえば「気持ちがいい」「うれしい気分」「やったぞという感じ」など。
得たい感情が明確になれば「どうすればその感情が得られるようになるのか」を考えられるようになり、自然と目標が生まれ、モチベーションが上がってきます。
(飯山晄朗:メンタルコーチ、経営コンサルタント。中小企業診断士、SBT1級コーチ、金沢大学非常勤講師、人財開発フォーラム
理事長、銀座コーチングスクール金沢校・福井校代表。家電業界でトップセールスマン、商工団体の経営指導員(11年間)を経て起業後は講演・研修講師)
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