« 授業中に暴言を浴びせられたときどう対応すればよいか、予防するにはどうすればよいでしょうか | トップページ | 保護者に「若い先生だから」と信頼されていないと感じるとき、信頼されるにはどうすればよいのでしょうか »

荒れている学級を担任して、どのようにして立て直していったか

 五年生は荒れている学級だった。ティームティーチングでなんとか学年末まで持たせてきた子どもたちだ。
 子どもたちの気持ちは担任から離れるばかりであった。二学期末から三学期にかけて臨時保護者会が何度か開かれ、保護者も二月頃は毎日授業参観に来ていた。
 問題は、担任が子どもたちの心をつかみきれず、体を張ってでも、とことんかかわってくれなかったことへの不満が出ていたようだ。
 その荒れていた学級の子どもたちが六年生になり、私が担任することになった。新しい学年になり、担任が代わったときは、学級を立て直すよい機会である。
 私は、つぎのような取り組みをした。
(1)
始業式の一日で子どもたちの名前を覚え、出席簿を見ないで呼名をして一声かける。
(2)
子どもの不満に耳を傾けながらも、YESとNOをはっきりさせる。
(3)
子どもが登校する前に教室で仕事をするようにして、子どもたち一人ひとりと挨拶をかわして迎える。
(4)
チャイムが鳴る前に教室に行き、チャイムと同時に授業が終わるようにする。
(5)
休み時間は子どもたちと一緒に遊ぶ。
(6)
掃除は一緒にする。雑巾がけなどいやがる仕事は、担任が先に立ってやり、範を示し、声をかけ一緒にやる。
(7)
できることは何でも一緒にする。
 ボスのKを取り巻く四人はなんとか理由をつけて手を抜こうとする。そんな時、命令だけでなく共に作業をする。
(8)
専科の時間も専科教師に了解を得て、ティームティーチングをさせてもらう。
(9)
やる気のない子には個別指導を続け励ましながら完成させる。
 諦めずかかわっていると「わかったよ。やるよ、先生もういいよ」と、どの子どももわかるときがくる。
 指圧や針の世界では、体の部位にツボがある。ツボをはずしていくら治療をしてもききめがない。荒れた子どもの心をつかむのも同じである。その子によってツボが違う。
 ボスのKは意外と情にもろいところがあり、話をしていて反抗的な態度のときと、涙もろく素直なときがある。
 あるとき子どもたちに、私が小学生のとき、母親に反抗したときの体験話をした。「母が悲しんで一人涙している姿を見て、私はとてもショックを受けた」と子どもに話した。「母の涙を今も忘れられない」と。
 その話を聞いて、ボスのKの目から大粒の涙がこぼれ落ちたのだ。母思いのKの一面を見た。Kの母親と連絡をとり、何度か家庭訪問をして、Kと母親と私の三者面談をして、自分を見つめさせる話し合いを持った。
 母親を悲しませたくないと思いながらも、級友の前ではワルを演じているのである。母親の思いに気づかせたことは、K自身をみつめさせ、自分に気づかせるのに役立った。
 教師は個々の子どもにかかわり、その子の心のツボをつかむことが大切だ。
 口や指示や命令だけしていて、教師が動かないのでは子どもはついてこない。子どもが見えていないだけ、子どもの心は教師から離れていくのである。
 一つできるようになったらよしとして、あれもこれもと望まない。たとえば
「着席して授業ができるようになったからよし」
「ノートや教科書が出ているからよし」
「人が話をしているとき、おしゃべりがなくなったからよし」
 小さな達成できそうな目当てを、子どもたちと話し合いながら決める。
 みんなで約束したことが、できるようになったかを確かめて、次のステップに移る。
 学び合い、支え合う雰囲気づくりの実践には、教師のおおらかさとねばりが基本である。
(
塚田 亮:元東京都公立小学校長)

|

« 授業中に暴言を浴びせられたときどう対応すればよいか、予防するにはどうすればよいでしょうか | トップページ | 保護者に「若い先生だから」と信頼されていないと感じるとき、信頼されるにはどうすればよいのでしょうか »

学級の荒れ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173207/65365368

この記事へのトラックバック一覧です: 荒れている学級を担任して、どのようにして立て直していったか:

« 授業中に暴言を浴びせられたときどう対応すればよいか、予防するにはどうすればよいでしょうか | トップページ | 保護者に「若い先生だから」と信頼されていないと感じるとき、信頼されるにはどうすればよいのでしょうか »