責任を他人のせいにする母親が増えてきています、よい父親になるにはどうすればよいか
自分の子が具合の悪いことをしたとき、その責任を他人のせいにするのを他罰主義と言います。このところ他罰主義的傾向の母親が相当増えてきています。
他罰主義的な傾向の強い母親は、たいていのことは自己中心的に物事を処理します。授業参観で授業中だというのに、顔見知りの親同士で、まったく授業とは無関係な話を平気で交わしています。
他罰主義的な言動を親が示していると、子どもは自分の行いのよしあしをきめる指標を持たなくなっていきます。
そのため、子どもは自己中心的な考えの子になってきています。自分が悪いのではなく、教師とか、友だちが悪いために、自分がその犠牲になっているのだというとらえ方は、子どもの心を貧しく、手前勝手な人柄にしてしまいます。
他罰主義は、子ども心に「ぼくの言うとおりにしなかったから、殴ったり蹴とばしたのだ。悪いのはあいつだ」と、すべて自己中心的な見方や感じ方を助長することに手を貸すことになります。
友だちをいじめたりしても、自分の不都合さは棚上げにして、すべて相手のせいにしたりします。成績が悪いのも、教師の教え方が拙いためだとし、自分が勉強を怠っていることに原因があると思わないようになります。
そして、自分から努力していくことこそ、もっとも大切なことだということを知らないままで過ごすことになります。これでは、子どもの成長がひどく歪みます。
よい父親になるにはどうすればよいのでしょうか。子どもにとって快いお父さんになるのは、かんたんです。
ひとつは、わが子が大好きということです。もうひとつは、わが子のすてきな面や、すぐれたところを実感として知っていることです。
そうすれば、わが子を尊敬するようになります。いつのまにか、ものの言い方も変わってきます。おのずとていねいな話し方をするようになります。
そして、お父さんの得意技を伝授したり、幼少のころの遊びや風景や行事などを語って聞かせるようになります。
悪い成績でも「いまは、あまり勉強していないからだよ。だから30点しか取れないのだよ。でも、これから百点まで伸びていく楽しみがあるじゃないか。こんどは50点ぐらいの点を取っておいでよ」と、プラス思考でわが子を認めていくようになります。子どもから見て、安心できることが、良きお父さんなのです。
子どものよいところを知っているというお父さんは、愛情面だけでなく、理性面においても成熟した父親だといえます。
大人の世界でもそうですが、相手のすぐれた点や、長所が分かるようになってくると、相手の人も自分を信頼してくれるようになってきます。そして、仕事もはかどり、職場の雰囲気ものびのびとしてきます。
また、母親に対しても、
「しつけは、愛情と根気がいるよ。どなりつけたりしないことだ。微笑と優しさを通じてしつけるべきだ。うちで欠けているのは慈しみじゃないかな」と、少し機嫌のよい時を見計らかって、おだやかに妻に言うべきでしょう。
(岸本裕史元:1930-2006年、神戸市生まれ、小学校教師。百ます計算の生みの親。1985年 「学力の基礎を鍛え落ちこぼれをなくす研究会(落ち研)」(現「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会」)結成し、代表委員)
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