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新採4年目で5年生の担任になり学級が荒れたが、キレた子の事件をきっかけに良くなっていった

 「高学年の子どもはこわいが、でも向き合える教師になりたい」という、ずっと抱えていた決意に挑戦するため、新採4年目で5年生の担任になりました。
 この子らは二年生のときに担任したので、きっと良いスタートができるだろうと、期待して始業式を待ちました。
 学級開きの日は、どことなく子どもたちと距離がある感じでした。ドギマギしながら「みんなで力を合わせて楽しく過ごせるクラスにしようね」と言う私の言葉は上滑りな感じでした。
 子どもたちの心の中が知りたくて「始業式の日」という題の作文を宿題で書いてもらいました。翌日、読んでみてショックをうけました。
「担任の先生が若い女の先生だと知って、お母さんが『大丈夫かなあ』、お姉ちゃんが『なめられないといいけどね』と、言っていました」
「わたしは、前の先生がいちばん好き」
など、私に対する不安や傷つく言葉を綴った作文がいっぱいありました。
 さらに、みんなで遊んで楽しい雰囲気をつくり出そうとしても、半数近くの子が「えーっ、やりたくない」といって、校庭の隅に座り込んでしまう。
 授業中は課題にとり組まず「ぼぉーっ」としている子が数人。注意すると「勉強する意味がわからない」「めんどくさい」という言葉が返ってくる。
 また、授業中のおしゃべりが止まらない男子が何人もいて、お説教で授業を中断することもしばしば。女子同士のいじめやいざこざも、後を絶ちません。
 でも、私が決意したことを落ち込むたびに思い出し、前に進む道を探しました。学習会に参加したり、教育書を読んだりして、高学年について学ぶと同時に、学年の教師に相談して具体的な指導方法などを教えてもらい、支えてもらいながら、日々を乗り越えていきました。
 クラスにささいなことですぐキレ、友だちを殴ったり物を投げたりするAくんがいました。教育相談の教師に相談すると「キレる問題」で校内研修会をしてもらうことになりました。
 研修会では「まわりの子どもたちの共感力が必要」「キレた後は、気持ちが落ち着くまでそっとしてあげたほうがいい」「その子が認められるような場をつくる」などの意見が出されました。
 私は「Aくんの切なさに、なんで寄り添おうとせず、逆に追いつめてしまっていたんだろう」と、胸が締めつけられ「つぎは過ちはくり返さないぞ」と心に誓いました。
 その研修会の直後、休み時間に、Aくんがキレて机を投げ、友だちの背中を殴るという事件が起きました。私が教室にかけつけたときは、Aくんは保健室に行ってしまった後でした。
 「Aくんのことをみんなで考えるチャンスだ」と思い、すぐに子どもたちを席につかせ、話し合いを始めました。何があったのか事実を確認した後「どうしてAくんはキレてしまったんだと思う?」と問いかけると「悪口をいわれたから」と子どもたち。
 子どもたちかAくんを非難し、話し合いが悪い方向へいったらどうしようかと思いましたが、子どもたちと真剣に話し合ってみるしかないと覚悟をきめました。
 
「悪口をいわれてキレてしまうAくんの気持ち、みんなわかる?」と聞いてみました。すると「わかるよ」という子が出てきたのです。「ほかにもいる」と聞くと、ほとんどの子が手をあげました。
 
「どうしてわかるの?」と聞くと、多くの子から次々とキレ体験がでてきました。そこにAくんが教室に帰ってきました。私は「気持ちが落ち着ける場所に行ったのは、えらい」と、ほめました。みんなのキレ体験をAくんに伝えました。
 
「みんなAくんの気持ちがわかるって。大丈夫だよ。キレちゃっても、今日みたいに気持ちを落ち着ければいいんだからね。みんなわかってくれるから」とAくんに言うと、Aくんは静かにうなずきました。
 クラスのみんなの気持ちがAくんに届いた瞬間でした。「このクラスの人たちはみんな優しいね。とても素敵なクラスだよ」と話しました。
 その後、不思議なほどAくんのキレる回数が減り、キレてしまったときも、自分からその場を離れました。そして自分から迷惑をかけた友だちに謝ることができるようになりました。何に腹が立ったのかを少しずつ言葉で伝えることもできました。
 友だちに共感してもらえるということが、こんなに大きな変化をもたらすということを私は実感しました。これから、いろいろあっても、クラスの子どもたちを信頼して前に進んでいこうと思えた出来事でした。
(
大山しおり:1979年生まれ、東京都公立小学校教師)

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